ストレスを感じた時に、あなたを襲う頭痛。ズキズキしたり、ジーンと痛くなったり、その様相はさまざまですが、とにかく頭痛は厄介なものです。
おおっと、そこでいきなり頭痛薬に手を伸ばすあなた、その気持ちは十分も分かりますが、ストレスから引き起こされる頭痛の仕組みを知らないと、何度も何度も頭痛が襲いかかり、余り意味がありません。ここは根本原因を探り、元から絶たないと解決しないのです。
では、ストレスが頭痛を引き起こすメカニズムを徹底解説します!
ストレスが頭痛を引き起こす
メカニズムを徹底解説!
緊張性頭痛
毎日起こる、持続性の慢性頭痛です。もっとも多い頭痛のパターンで、頭痛の原因の七~八割を占めます。中高年に多く、男女を問わず見られる頭痛で、「はちまきで締め付けられるような鈍い痛み」です。たいていの人は、同時に肩こりの症状も見られます。
それほど重くなく、身体を動かすと痛みが収まることがあります。患者数は成人の約二割、2200万人の日本人が悩まされていると言われています。昔は「頭重」(ずじゅう、ずおも)とも言われていました。
ストレスや、心労が重なったり、疲労や寝不足が原因で、頭のまわりの筋肉が緊張して血流が悪くなり、乳酸などの老廃物がたまります。老廃物がたまることで、痛みの神経を刺激し、「こり」の状態になって痛みます。
ストレスが続くと、ますます筋肉の収縮がひどくなり、血液の循環もさらに悪くなって、筋肉のしこりが出来てしまいます。ストレスがそれほどの原因になるのかと疑われるかもしれませんが、強いストレスがかかると、筋肉の血流はすぐに半分ぐらいまで低下することがわかっています。
そして、この頭痛を放置していると、頭痛そのものがストレスになるという悪循環になります。「こり」がある部分にホットタオルを乗せたり、入浴で血行を良くすれば痛みはやわらぎます。
テルネリン、ミオナール、アロフトなどの筋弛緩剤を服用することでも「こり」はほぐれますし、風邪薬として用いられる漢方薬の葛根湯なども首の「こり」に効果があり、血行が良くなります。
片頭痛
頭の片側に発作的に鋭い痛みが走るのが、片頭痛です。吐き気がし、実際に吐くこともあります。月に一度から二度、多い人は週に一度、数時間から3日ほどズキンズキンと脈打つように痛み、身体を動かしたり、音や光で痛みがひどくなることがあります。
前兆として、ギザギザの光が広がったものが見えることがあります。成人の一割が片頭痛持ちで、男性よりも女性に圧倒的に多く、妊娠中は片頭痛が減ります。四分の一は子供の頃から始まり、ほとんど三十代までに発症しますが、もっとも多く発症するのは思春期頃で、六十代頃には減ります。
ストレスが原因の片頭痛の場合、実はストレスから解放された直後が危険で、ストレスによって収縮していた血管が緩んだ瞬間に、片頭痛が起きることが多いそうです。会社が休日になる週末になると、決まって片頭痛が起こる人もいて、「週末頭痛」などとも呼ばれます。
日本人には、臭いで片頭痛になる人も多く、香水やポマード、満員電車での他人の大衆や汗の臭いなどで片頭痛が誘発される人もいます。また、不眠と共に寝過ぎも片頭痛の原因になることもあります。
寝ている間に二酸化炭素が蓄積し、脳が「むくむ」状態が、片頭痛の引き金を引きます。普段からあまりストレスをためこまないようにするのが賢明です。
群発頭痛
目の周囲を中心として、頭の片側に現れ、アイスピックで刺されるような強い痛み、それも陣痛に匹敵するような激しい痛みを伴う頭痛です。別名「自殺頭痛」ともいい、女性より男性に多く見られ、二十代から四十代で発症します。
じっとすることも出来ず、自分で頭を叩いたり歩き回ったりします。目が充血し、涙が出たり、鼻水が出たり、鼻がつまるという症状が出ることもあります。原因は二つ考えられていて、一つは、眼球の奥にある内頸動脈が拡張し、その周囲に炎症が掟、三叉神経を刺激するというものです。
この内頸動脈の周りには、涙腺の働きや瞳孔の大きさをコントロールする自律神経があって、それが刺激される為に涙や鼻水が出るなどのような症状を伴うと考えられています。
二つ目は、視床下部に何らかの原因があるというもので、群発頭痛発作時に、視床下部に活性が見られた事からそれが裏付けられています。その誘因と考えられているものの内には、習慣的な喫煙や過度の飲酒、睡眠スケジュールの変化などがあります。
顎関節症
頭痛と肩こりが続く場合、歯の噛み合わせが原因のこともあります。顎が痛くて口を大きく開くことが出来なくなる顎関節症などが知られ、顎関節の周りの側頭筋や咬筋に力がかかりすぎて、その痛みから頭痛が起こります。
歯を食いしばったり、睡眠中に歯ぎしりする人に多いとされますが、その主な原因はストレスと考えられています。
眼の異常
テクノストレスやドライアイ、目の疲れなどが原因で頭痛が引き起こされる場合があります。
眼圧が高くなる急性緑内障でも激しい頭痛が生じるので、片頭痛や緊張性頭痛の症状がなかった人が頭痛に悩まされるようになった場合、眼科に行くことをオススメします。
副鼻腔炎
鼻の奥にある副鼻腔の粘膜に炎症が起きている副鼻腔炎も頭痛の原因になります。前かがみになると痛みが強まる場合は、急性副鼻腔炎の可能性があります。かつて副鼻腔炎で、手術で治したという人も、いつの間にか副鼻腔にのう胞ができて、頭痛の原因になります。
副鼻腔炎はストレスによって自律神経のバランスが崩れ、粘膜が腫れやすくなることで生じる場合がありますので、「私はアレルギーや風邪とは無縁だ」という人でも注意して下さい。
うつ病など精神疾患による頭痛
長引く頭痛の場合、知らず知らずに、ストレスによって引き起こされたうつ病などの精神疾患が原因の事も少なくありません。
片頭痛の項目で述べた通り、セロトニンの減少は頭痛を引き起こすのですが、うつ病の人の脳の内部では、セロトニンが極端に減っていることが分かっています。神経内科などでの治療効果が上がらない場合、診療内科や精神科を紹介してもらいましょう。
いかがでしたか。
ストレスは適度なら人生の香辛料になるとは言え、重度のストレスや慢性的なものは禁物。人間の身体は、神経や脳、血管を含めて、タフに見えて実はデリケートで、知らない間にバランスを崩してしまいます。
ストレスが原因で引き起こされる頭痛と言っても、そのメカニズムと対処法は様々で、血管が拡張して生じる片頭痛の時に、血行を良くする薬を飲んでも逆効果だったりするわけです。
何にせよ、一番大切なのは健康な生活とバランスです。ストレスを適度にコントロールして、大いに人生を楽しみましょう。
まとめ
ストレスが頭痛を引き起こすメカニズムを徹底解説!
・緊張性頭痛
・片頭痛
・群発頭痛
・顎関節症
・眼の異常
・副鼻腔炎
・うつ病など精神疾患による頭痛