頭痛のタイプから見る、原因とその痛みの対処法

頭痛のタイプから見る、原因とその痛みの対処法二日酔いや風邪、発熱を原因とする頭痛は、誰もが経験したことがあるでしょう。これらの原因とは別の、多様な原因による頭痛に慢性的に悩まされる人は多いです。

日本には「頭痛持ち」と呼ばれる人が、4人に1人、およそ3000万人いると言われています。あなたもそのうちの1人ではありませんか?慢性的な頭痛は、二日酔いや風邪の場合と異なり、原因が自覚できないことが、多々あります。

なので「頭痛持ち」の人々は病院に行っても、適正かつ効果的な治療を受けることが、とても難しいのです。お医者さんにとっても、頭痛持ちの患者さんの生活を、朝から晩までその目で確認することは不可能ですから、それぞれの頭痛の原因を突き止めることは困難です。鎮痛剤という対症療法である薬を処方するくらいしか手立てがありません。

頭痛持ちのみなさん、自分の身の回りの環境を自分で検証して、頭痛の原因と思われるものを絞り込んでみませんか?今日は頭痛をタイプ別に分類して、それぞれの頭痛の原因と痛みへの対処法をお伝えします。

 

 

頭痛のタイプから見る
原因とその痛みの対処法

 

片頭痛

悩む人が多い片頭痛の原因と対処法からお伝いしましょう。こめかみの辺りや目の裏が、「ズキン、ズキン」と脈打つように痛い、この「ズキン、ズキン」という痛みが心臓の鼓動と同期している感じがする、光がまぶしく感じて目が痛いような気がする、これらは片頭痛の代表的な症状です。

片頭痛の原因ははっきりとは解明されてはいないのですが、脳にある血管の一部が拡張して炎症を起こしているからだという説が有力です。片頭痛に悩む人は圧倒的に女性に多く、片頭痛の原因には女性ホルモンも関連している可能性があると言われています。

また、ストレスを感じる時と緊張感がゆるんでホッとした時の差が激しいと発症することも多いです。ひどい時には吐き気を感じることもあります。ひどくなる前に片頭痛の痛みをやわらげましょう。血管の拡張と炎症が頭痛の原因ですから、痛む部分を冷やすことが一番の対処法です。

氷または冷却材をタオルで包み、こめかみの辺りや目の上にそれをあてて冷やします。そして周囲を暗くしましょう。目をつぶっていても強い光は目に刺激を与え、その刺激が頭痛を誘発・悪化させます。部屋を暗くして、可能ならば横になって休みましょう。

また、適量のカフェインは拡張した血管を元に戻す働きがあります。コーヒーや紅茶を一杯飲むのは、痛みを軽減するのに効果的です。しかし、飲み過ぎはいけません。痛みがぶり返したり、胃を荒らして吐き気を助長してしまいます。血管が拡張しているので、これ以上血行を良くさせてしまわないよう、入浴で体を温めたり、マッサージしたりすることは避けてください。

 

緊張型頭痛

この緊張型頭痛にも悩む人はとても多いですが、この頭痛の原因は比較的明らかになっています。午後から夕方にかけて、目の疲れや全身の疲労感とともに、後頭部や首まわりを中心に締め付けられるような痛みがするのが、緊張型頭痛の代表的な症状で、この頭痛の原因は頭、首、肩の筋肉が緊張で硬くなり、血流が悪くなることです。血流が悪くなった部分で、老廃物が筋肉に蓄積し、その周囲の神経が刺激されて痛みを感じます。

これと似たメカニズムが肩こりなので、緊張型頭痛と肩こりを同時に発症する人はとても多いです。長時間のデスクワークなど、同じ姿勢をとり続けることでこの緊張型頭痛を発症しますので、パソコンの作業や文書を読み書きするときには、だいたい1時間に1回のペースで首や肩のストレッチをやるなど、筋肉を硬直させないように気をつけましょう。この習慣で頭痛の原因を取り除けます。

それでも緊張型頭痛になってしまった場合は、血行を良くさせましょう。片頭痛への対処とは真逆で、首まわりを蒸しタオルや温感湿布などで温めたり、入浴で全身を温めたり、マッサージ・指圧をしたりすることで、血流が改善して緊張型頭痛は治まります。

 

群発頭痛

「目をえぐられるような」と表現できる強い痛みが、1〜2ヶ月間、毎日同じ時間帯に感じる場合、これは群発頭痛の可能性があります。そしてこの痛みが数年周期で発症するのが群発頭痛の特徴です。この群発頭痛は片頭痛や緊張型頭痛に比べると珍しい頭痛で、女性より男性に多く見られる頭痛です。

群発頭痛の原因は目の後ろを通っている内頚動脈が拡張して炎症を起こしているからという説が有力ですが、はっきりとは解明されていません。また、体内時計の狂いが関係しているという説もあります。この群発頭痛はあまりの痛さに「自殺頭痛」などという呼び名があり、症例も少ないため、病院でも頭痛の原因は不明なまま、片頭痛や緊張型頭痛として診断されてしまう場合があります。

しかし、誤診であっても処方された頭痛薬は痛みを抑えるのに効果がありますので、痛むときはためらわずに服用しましょう。強烈な痛みですので頭痛外来や神経内科などの専門医にかかることが最良の対処ですが、自宅で対処できる方法もあります。群発頭痛の患者さんの体験談では、体を動かすと痛みが強くなると言われています。

これは体を動かす刺激で血流が良くなるからと推測されます。また、赤ワインやチーズ、チョコレートで頭痛が悪化することも多いです。これは赤ワイン、チーズ、チョコレートに含まれる血管拡張を誘発する物質が原因となり頭痛を悪化させています。酒やタバコといった刺激物は頭痛時には避けましょう。安静にして専門医療機関に行くことが必要です。

 

二次性頭痛

上記3つの頭痛とは異なり、クモ膜下出血や脳腫瘍といったある特定の病気が原因の頭痛は、二次性頭痛と呼ばれています。日本頭痛学会では二次性頭痛の特徴を以下のように定義しています。

(1) 突然の頭痛
(2) 今まで経験したことがない頭痛
(3) いつもと様子の異なる頭痛
(4) 頻度と程度が増していく頭痛
(5) 50歳以降に初発の頭痛
(6) 神経脱落症状を有する頭痛
*神経脱落症状とは、神経の働きがなくなったために起こる症状。部位により多彩。
(7) がんや免疫不全の病態を有する患者の頭痛
(8) 精神症状を有する患者の頭痛
(9) 発熱・項部硬直・髄膜刺激症状を有する頭痛
*項部硬直・髄膜刺激症状とは仰向けの患者の頭部を持ち上げると抵抗がある事など。

これらの特徴がある頭痛の場合は、早急に脳外科などの専門医療機関を受診してください。命に関わる深刻な病気が頭痛の原因の可能性があります。

 

今日お伝えした頭痛のタイプの中で、3の群発頭痛と4の二次性頭痛はとても深刻ですが、1の片頭痛と2の緊張型頭痛も「頭痛くらい我慢すれば…」と軽く扱うことは危険です。

片頭痛と緊張型頭痛は慢性化しやすく、その場合は症状もどんどん重くなります。日常生活に支障がでるほどの痛みに苦しむ人はとても多いのです。我慢せずに頭痛の原因を見極めて、冷やしたり温めたりという適切な対処を早めに行いましょう。最後に注意点を一つ。

1の片頭痛と2の緊張型頭痛を併発する人もいます。対処法を間違わないためにも、頭痛の症状、痛み方を冷静に判断しましょう。脈打つように心臓と同じテンポで痛むのは片頭痛。締め付けられるような持続的な痛みが緊張型頭痛です。「頭痛持ち」のみなさん、あなたの頭痛はどのタイプですか?見極めて適した対処法で日常生活をより快適にしましょう。

 

今日のまとめ

頭痛のタイプと痛みへの対処法

・片頭痛の場合:痛む部分を冷やす。周囲を暗くする。カフェインを適量摂取する。
・緊張型頭痛の場合:首や肩のストレッチをする。風呂や蒸しタオルで体を温める。
・群発頭痛の場合:体への刺激を避けて安静にする。赤ワイン・チーズ・チョコレートを避ける。頭痛外来か神経内科を受診する。
・二次性頭痛の場合:早急に脳外科を受診する。


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