「指が痛い・・」何かを取ろうとすると、指の関節のあたりに痛みが走ります。最初は軽い痛みなのでそんなに気にならないのですが、だんだん関節の周りが腫れてきて日増しに痛みが増していきます。変形性関節症。あまり聞きなれない言葉ですが、それは更年期の多くの女性を突然襲う関節の病気のことで、加齢や過剰な運動などにより間接の回りの軟骨が磨り減ってしまい痛みや腫れ、関節や骨の変形を引き起こします。
また、突然軟骨が減少を始める原因を更年期による女性ホルモンのバランスの乱れとする説もありますが、確かなところは解っていません。そして、変形性関節症は指だけではありません。ひざや股など体中のさまざまな関節で発症するのです。今回はそんな変形性関節症の種類をそれぞれの特徴を交えながらご紹介していきましょう。
指の関節の腫れは更年期の女性に多し!
変形性関節症の種類
指が腫れて変形する、手指の変形性関節症
人差し指の第一関節が腫れたり変形したりする症状をヘバーデン結節と言い、指の曲げ伸ばしが困難になり無理に動かそうとすると激しい痛みを感じることがあります。症状が進行すると関節が破壊されて指が変形します。また第二関節の場合をブシャール結節、親指の付け根を母指CM関節症と言いますが、症状はへバーデン結節と同じです。ただ、母指CM関節症は痛めた関節が普段物を掴む動作の時に使う関節なので、物を持つ時やドアのノブを回すなどの動作が困難になります。
さまざまな要因が重なって起こる、変形性顎関節症
側頭骨と下顎の骨の間には、円板状の実にデリテートな軟骨が存在しています。もしもその円板が変形したり、失われたりしたら、口を開閉する時にクリック音がしたり、うまく口を開けられなくなったりします
。歯のかみ合わせや、寝ている間の歯ぎしりが主な原因とされますが、精神的なストレスで常に緊張を強いられたり、うつ伏せで寝る癖があるなど日頃の生活習慣が重なって引き起こされる場合があります。変形性顎関節症の可能性は全ての人に共通しますが、特に更年期でストレスが溜まりやすい40代から50代の女性に多く発症します。
肩の使い過ぎが原因です。変形性肩関節症
他の変形関節症のように、高齢や更年期によって起こるとされる一時性の発症の例は比較的少なく、どちらかと言うと肩の脱臼や使い過ぎなどの二次的な原因で変形性肩関節症を引き起こす可能性があります。肩関節脱臼は柔道やラクビーなどの肩が直接触れ合うスポーツや、長年重たい荷物を持つ仕事などで起こります。
そんな脱臼を繰り返していると関節軟骨が傷つき磨り減ってしまい、腕の運動が制限されて痛みを感じるようになります。また症状が進行すると関節液が溜まって腕を動かすことが困難になるほか、無理に動かそうとすると激しい痛みを伴うようになります。
指のしびれは要注意!変形性肘関節症
ある日、小指の付け根がしびれて腕が重たく感じます。こんな変形性肘関節症の多くは長年の肘の使い過ぎや腕の無理な運動によって引き起こされますが、40代、50代を過ぎてから、特に理由がないのに発症する場合もあります。
変形性肘関節症は腕の骨と骨のバランスが崩れ、関節軟骨が磨り減りへって骨が変形する病気ですが、小指の付け根にしびれを感じた時はすでにその症状が進行しています。ですが、物が掴みにくくなったり腕の曲げ伸ばしが不自由になってから気付く場合が多く、放置すると益々症状が悪化しますので注意が必要です。
意外な原因が隠されています。変形性股関節症
買い物の途中で足が重くなる、階段の上り下りの時に足の付け根やひざの上あたりに痛みを感じる・・。とかくこんな症状を運動不足や歳のせいだと決め付けてしまいがちですが、実は変形性股関節症の初期にも同じ症状が見られます。
そしてその原因は本人がこれまで気付かなかった意外なところにあります。臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)は、大腿骨の先端の丸い部分を包み込む臼蓋という部分の形成が不完全なため、股関節が足の動きに対応できず軟骨が磨り減っていく病気ですが、多くの人がその進行に気付かず更年期を迎えてしまいます。
そして加齢や太り過ぎで益々軟骨の減少が進み、痛みを感じるようになります。変形性股関節症は更年期の女性に多く見られ、その80%は臼蓋形成不全が原因とされています。
歳だからとあきらめないで!変形性ひざ関節症
ひざに起こる変形関節症は加齢や足の使い過ぎ、肥満の他にも骨折や脱臼などの外的外傷からも引き起こされます。痛みや腫れは関節を取り巻く軟骨が磨り減り、直接骨と骨がぶつかることが原因です。また、ひざに水が溜まるという症状は関節に関節液が溜まり炎症を起こした状態で、痛みを和らげるためには注射器で関節液を抜く必要があります。歳だから、太っているから仕方がないと多くの人があきらめてしまう変形性ひざ関節症。ですがその患者数は全国で700万人とも推定されています。
知らない間に進行する、変形性足関節症
若い頃に患った足首の捻挫や骨折、その痛みの記憶は時間の経過と共に薄らぎますが、その時に気付かなかった関節の微妙なずれは、次第に足首の軟骨を減少させていきます。そして、足首の内部で進行していた軟骨の減少は足関節を変形させ、むくみや痛みとなって表面に現れるのです。病状が悪化した場合、足首が痛くて正座ができない、走れない、歩行が困難になるなど、日常生活に支障をきたすようになります。
いかかでしょうか。
変形性関節症の種類や特徴を見ていくと、若い頃に無理をしていた部分や怪我などの後遺症が、更年期に入り加齢や肥満、ストレスなどの原因で発症するのがよく理解できると思います。ですが、変形性関節症は進行性があるので決して自然には治りません。一度失ってしまった関節軟骨は再生できない上に、悪化すると手術が必要になる場合もあります。もしもこんな体の異常に気付いたら、歳だからと言って我慢したり、問題を先延ばしにすることなく、症状が軽いうちに専門医の診断を受けることをお勧めします。いつまでも若々しく健康な生活を送るために。
まとめ
指の関節の腫れは更年期の女性に多し!変形性関節症の種類
・指が腫れて変形する、手指の変形性関節症
・さまざまな要因が重なって起こる、変形性顎関節症
・肩の使い過ぎが原因です。変形性肩関節症
・指のしびれは要注意!変形性肘関節症
・意外な原因が隠されています。変形性股関節症
・歳だからとあきらめないで!変形性ひざ関節症
・知らない間に進行する、変形性足関節症