めまいの原因からみる、気をつけた方がよい4つの怖い病とは

めまいの原因からみる、気をつけた方がよい4つの怖い病とは
一口にめまいと言っても、いろいろな症状があり、めまいとなる原因もさまざまです。立ち上がったときに目の前が真っ暗になる立ちくらみなど、誰しも一度や二度はめまいを経験したことがありますよね。めまいは身体の不調を知らせてくれるサインなのです。

めまいは、その症状から大きく3つに分けられます。自分や周りがぐるぐると回っているように感じる「グルグルめまい」、雲の上を歩いているような感覚の「フワフワめまい」、そして立ちくらみのような「真っ暗めまい」です。多くのめまいは一時的なもので、すぐに病院に行く必要があるわけではありませんが、油断は禁物です。とても怖い病のサインとしてめまいが起こることもあるからです。

どのようなめまいが怖い病のサインなのでしょうか?そこで今日はめまいの症状とめまいが起こる原因を知り、4つの危険な病を知ることで、危険なめまいとあまり心配のいらないめまいを見分ける方法をお伝えします

 

めまいの原因からみる
気をつけた方がよい4つの怖い病とは

 

めまいの3つの症状を把握しよう

めまいの症状は、大きく3つに分けられます。

・目の前が真っ暗、真っ白になり卒倒しそうになる「真っ暗めまい」
・自分や周りがぐるぐると回っているように感じる「グルグルめまい」
・雲の上を歩いているような、地に足がついていないような感覚の「フワフワめまい」

それぞれのめまいの特徴をもう少し詳しく見てみましょう。

 

1.1 真っ暗めまい

急に立ち上がったときに目の前が真っ暗になる立ちくらみが「真っ暗めまい」の代表で、次のような症状があります。基本的には、すぐに病院に行く必要なことはありませんが、めまいが起きたときに卒倒しないように注意が必要です。

・一瞬、あるいは短時間だけ目の前が真っ暗になり、何も見えなくなる
・めまいの継続時間は短い(ほんの数秒)
・座ったり、横になるとすぐに回復する

 

1.2 グルグルめまい

回転性のめまいと呼ばれるもので、次のような症状があります。

・自分がグルグル回っているように感じる
・天井など周りがグルグル回っているように感じる
・立っていても、横になっていても同じように感じる
・吐き気を感じる
・怖い病気のサインの場合がある

 

1.3 フワフワめまい

動揺性のめまいと呼ばれるもので、次のような症状があります。

・雲の上を歩いているような、地に足がついていないような感じ
・乗り物酔いをしているような感じ
・目の焦点が合いにくい
・本やパソコンの画面が揺れて、じっと見ていられない
・常時「フワフワ」「フラフラ」しているわけではないが、症状は数カ月間以上続くこともある
・怖い病気のサインの場合がある

いずれのめまいも、必ず原因があります。次節で、めまいが起こる仕組みと原因について紹介していきます。

 

めまいが起こる仕組みと原因を理解しよう

めまいが起こる仕組みが分かれば、めまいの症状からその原因と危険性を察知できるようになります。めまいが起こる原因は大きく分けると、次の2つに集約されます。

・脳の血液不足
・平衡感覚の乱れ

それぞれを少し詳しく見ていきましょう

 

2.1 脳の血液不足

脳の血液不足がめまいの原因となる場合があります。人の脳は大きく、とても多くの酸素や栄養分を必要とするため、実に全身の血液の15%を脳が必要とすると言われています。脳が必要とする血液が足りなくなることが原因で、まず最初にめまいとして症状が出ます。めまいは脳が出す最初のSOSと言えるかもしれません。

血液は心臓から血管を通って脳に届けられます。したがって、脳に血液を送る力(血圧)が低下したり、血管が痛んだりすることで脳への血流量が不足します。

急に立ち上がる際に立ちくらみによるめまいが起こるのは、立ち上がる瞬間、頭の血液が下向きに流れる形になり、脳の血液が不足することが原因です。血圧が低いほど頭に血液を送る力が弱くなりますから、低血圧の人ほど立ちくらみが起きやすくなります。

ちなみに、熱いお風呂に長く入っていると血管が広がり血圧が下がった状態になりますし、高熱で体力が落ちているようなときも低血圧になっていたりするので、誰でも立ちくらみしやすくなります。基本的に立ちくらみによるめまいは一瞬で終わります。急激に立たないように注意することで、予防も難しくありません。

立ち上がった瞬間に目の前が真っ暗になる立ちくらみと違い、ずっと立ったままで突然目の前が真っ暗になるめまいもあります。子供の頃、全校生徒が集って先生の話を聞いているようなときに、突然、誰かが倒れるようなことがありませんでしたか?長時間同じ姿勢で立っていたりすると迷走神経の活性化されることが原因で血管が広がり、心拍数が低下することで、低血圧になって「真っ暗めまい」が起きるためです。

座ったり横になったりすれば、まもなく迷走神経は落ち着くので、過度の心配はいりません。また、立ちくらみと違い、ある程度ゆっくり血圧が低下していくため、「これは真っ暗めまいが来るぞ」と気配が感じられますから、気配を感じたら予め座るなどの対策を取れば転倒による怪我なども防げるでしょう。

トイレで用を足している時にもめまいを感じるときがあります。このめまいの原因も、迷走神経の活性化によるものです。特に年齢を重ねるとその傾向が強くなりますので、年配の方は男性でも座って用を足すなど転倒予防をしておくとよいでしょう。迷走神経の働き自体は正常ですから、このめまい自体は心配する必要はありません。

つづいて、血管の痛みなどで発生する血流量不足がめまいの原因になる場合について見ていきましょう。

心臓から送り出された血液は、首筋の血管(椎骨動脈、ついこつどうみゃく)を通って脳に供給されます。この血管の流れが悪くなり脳が必要とする血流量に足らなくなると「フワフワめまい」が起きます。首筋の血管にとって、肩凝り、首の凝りは天敵です。凝って固くなった状態は血管にも影響が出ていて、血流が悪くなってしまうのです。ですから、目が疲れたり、緊張したり、長い間ストレスを感じたりした結果、肩や首が凝ると「フワフワめまい」が起きるのです。

中高年になり、初めて「フワフワめまい」に出喰わすと、多くの人はその症状から視神経や脳と結びつけ「脳内出血」などという怖い想像をしがちですが、実はこのめまいの原因が単なる疲労などから来る肩凝りが原因だったということも少なくありません。目の疲れや肩凝りであれば命に直結するような病状ではないですから、そんなに心配はいりませんが、専門医に「肩凝りが原因」と診断してもらえればより安心できますから、脳神経外科などの専門医に相談するのもよいでしょう。

なお、上を向いたり、下を向いたりと首の角度を変えると「フワフワめまい」がする場合があります。これは頸椎(首の骨)が若干曲っていることなどがめまいの原因で、頭を上や下に向けたときに首筋の血管を圧迫して血流が阻害されてしまう場合があるためです。ほんのわずかでも、血流が途切れることで、脳はSOSを出すんですね。

 

2.2 平衡感覚の崩れ

平衡感覚の崩れがめまいの原因となる場合があります。自分が地面に対して真っ直ぐ立っているのかどうかを感じ取る能力を平衡感覚といいます。この感覚がおかしくなると、自分が真っ直ぐ立っているのか、はたまた寝ているのかを判断することができなくなります。それが「グルグルめまい」などとなって表れるのです。

スマホやタブレットを利用されている方なら、機器の向きを回転させると画面が同期してグルグル回るのをご存知かと思います。これはスマホの中に3次元的に向きを測る部品(加速度センサー)が入っており、その測定結果をコンピュータ(CPU)で計算して、見やすい角度に回転して表示しているのです。人の身体もとても似た機能を持っています。3次元的に向きを測る部品に相当するのが耳の奥にある三半規管で、コンピュータに相当するのが脳です。この二つの働きにより、「今、頭は真っ直ぐだぞ」とか、「少し傾いているぞ」といった判断ができるのです。したがって、耳(三半規管)や脳に異常が生じることで平衡感覚が崩れめまいが生じる原因になります。

たとえば、耳の中の耳石がはがれて奥に入ると三半規管が誤動作し、グルグルめまいが生じます。これは良性発作性頭位(りょうせいほっさせいとうい)と呼ばれる症状で、その名の通り「良性」で心配は不要です。他にも突発性難聴やメニエール病といった耳の病が原因でグルグルめまいが生じることがありますが、いずれも命に直結するような病ではありません。とりあえず、耳鼻咽喉科を受診するとよいでしょう。

多くの「グルグルめまい」は耳が原因で、そして過度の心配は無用です。しかし、脳や脳の周りの神経などの異常が原因で平衡感覚が崩れ、グルグルめまいが生じることもあります。これについては次節で詳しく見ていきましょう。

 

めまいが知らせる4つの危険な病気

脳は身体全体をコントロールする重要な役割を果たしていますから、脳にダメージが生じると身体の様々なところに影響が出ます。

脳の中で平衡感覚を司る小脳や脳幹です。また、三半規管と脳を結び付けるのは聴神経(前庭神経)です。これらにダメージが生じると、平衡感覚が狂い、グルグルめまいが引き起こされます。たとえば次のような病気が実際にグルグルめまいを引き起こす原因となります。

・小脳出血
・小脳梗塞
・脳幹部出血
・聴神経腫瘍

一般的に言って、三半規管など耳が原因で生じるグルグルめまいよりも、脳や聴神経が原因のグルグルめまいの方が圧倒的に「グルグル」感が強く、激しい嘔吐、強度の耳鳴り、座ることもままならない、話し方に問題といった症状も伴うことがあります。しかし、初めてのグルグルめまいの場合、それが「強い」グルグルなのか、「弱い」グルグルなのかを判断することはとても難しいかもしれません。迷ったら救急病院に行くのがよいでしょう。一つのポイントは「血圧」です。血圧が高い方は脳内出血の可能性が高いですから、グルグルめまいが危険な状態のサインである可能性が低血圧の方よりも高くなります。

ただし、絶対はありません。たとえば小脳出血だったとしてお、出血量が微量であればめまいも軽くなります。微量でも小脳出血したならば緊急で手術をした方がいいことは間違いありません。「これまでに体験したことがないめまい」を感じたら、念のためでも受診する方がいいでしょう。

 

めまいの原因からみる、気をつけた方がよい4つの怖い病とは

めまいの症状は「グルグル」「フワフワ」「真っ暗」の3種類に大別されます。めまいの原因としては「脳の血流不足」「平衡感覚の乱れ」の2つに集約されます。めまいには必ず原因がありますので、どのような原因が考えられる確認するようにしましょう。中高年になると、目の疲れ、肩凝りなども「フワフワ」めまいの原因となりますが、過度の心配は不要です。危険なめまいは「グルグル」で、初めての強いグルグルめまいを感じたら必ず受診してください。
特に高血圧の方は次のような病気の危険性が高いので要注意です。

・小脳出血
・小脳梗塞
・脳幹部出血
・聴神経腫瘍


連記事
タイトルとURLをコピーしました