鎖骨骨折でも手術無しで治る?保存療法で治る骨折と治療法

足場の悪いところで足を踏み外す、人混みに押されて転倒してしまう……、などといった事故は人の多い場所で歩きまわることの多い現代人にとって常に起こる可能性のある事故。一瞬の判断ミスで、歩くこともままならないような厄介なケガを負ってしまった、という話もよくありますよね。そんな事故で起こるケガの中でも特に重いケガとなるのが骨折。

一度なってしまうと完治までに長い時間がかかるうえに、その間の生活も不便。治療費も安くない……。と、まさに踏んだり蹴ったりです。そこで重要となってくるのが、「保存療法」と呼ばれる手術外療法。スポーツでよく起こる鎖骨骨折や大腿骨骨折、頚椎圧迫骨折など、手術が必要に見えそうな骨折でも、この保存療法で治る骨折は少なくありません。

しかし「保存療法」と言われても、何のことだかわからない人も多いでしょう。ケガをして病院に行ったとき、お医者さんから「手術にしますか?保存療法にしますか?」と問われて、戸惑ってしまう人も少なくありません。この記事では、そんな保存療法について大まかにご紹介していきます。

 

鎖骨骨折でも手術無しで治る?
保存療法で治る骨折と治療法

 

保存療法とは、体を傷つけない治療法のこと

保存療法と言うのは、具体的に述べると、「人体を傷つけずに(出血させずに)治療する方法の総称」のことです。つまり、あえて人の手を直接加えることなく自己治癒力に任せて治療する方法です。人体に付加を加えず治療費も安く上がるので、そこまで重いケガや病気でない場合はほとんどの場合この保存療法が用いられることとなります。

ちなみに、この保存療法と対をなす療法は「観血療法」と呼ばれます。これはその名の通り血を流す治療のことで、手術のみならず縫合や骨癒合術など、多くの治療法がこの中に含まれています。

 

軽度の骨折程度なら、ほとんどの場合保存療法で治る

骨折の種類は数あれど、単純に折れただけ、真っ直ぐに折れただけのようなシンプルな類の骨折なら、大半の場合保存療法が効果的な療法となります。逆に、複雑な骨折を起こして細菌などによる感染が心配される場合、骨がねじれたり破片が体内に散ってしまった場合などは、手術による治療が不可欠となります。

ただし、保存療法は、体の自己治癒力に任せるという点で、長い時間をかける必要のある療法であり、手術治療などに比べ、自由に動けるようになるまで時間がかかるというデメリットがあります。

つまり、前述したお医者さんの「手術にしますか?保存療法にしますか?」という質問は「負担はかかるが早く治る治し方がいいですか?安全だか時間のかかる治し方がいいですか?」ということを聞いているわけなのですね。

 

普通のケガで用いられる保存療法の種類は五つ

さて、ではこの保存療法の治療法について具体的に説明していきましょう。骨折やねんざなどの身体負傷では、保存療法による治療法は大雑把に分けて次の五つほどに分類されます。

1.運動療法2.装具療法3.物理療法4.薬物療法5.マッサージ療法このうちで、その名の通り、症状に合わせた薬が処方される「薬物療法」と、関連機関にいるマッサージ専門の先生にマッサージをお願いする「マッサージ療法」については、くわしい説明を必要としないので省略します。ちなみに、薬物療法で処方される薬には胃に負担をかけるものもあるので、胃が弱い人は一言医師に相談してみるといいでしょう。

 

運動療法とは、医師が組んだメニューの運動で治す治療法のこと

運動療法とは、軽いケガや腰痛などの場合によく用いられる療法です。医師から渡された運動メニューを、病院や自宅で行っていくという療法です。

体が痛いときにあえて運動を行うという療法に不安を感じる方も多いですが、専門医の指導をきちんと順守していればそのような心配はほとんど必要ありません。逆に、医師からの指示を忘れて間違った体操方法などを続けても効果がないので、そのような場合はちゃんと医師に聞き直しましょう。

 

装具療法とは、コルセットで固定する治療法のこと

装具療法とは「理学療法」と呼ばれる、ケガの部分に刺激を与えて神経を回復させる療法の一つです。この「装具療法」とは、医師から自分の症状やサイズに合わせたコルセットを装着して生活を送っていく治療法です。

筋肉、関節の負担を減らしつつ、圧迫による刺激で自己治癒力を高めていく、という方法です。このコルセットのような固定具は様々なケガに用いられ身近なので、目にしたことがある方も多いでしょう。

 

物理療法とは湿布などで治す治療法のこと

物理療法とは、装具療法と同じ分類の「理学療法」であり、ケガの部分に刺激を与えて筋肉の血流などを改善させていく療法のことです。市販されているものとはまた別の、医療機関お手製の特別な湿布や専用パック、特殊なベルトやレーザーなどを当てていくことでケガの治りや痛みの緩和を進めていく療法です。定期的な通院や医療具の購入が必要なため、保存療養の中ではやや費用がかかる治療法に分類されます。

 

他にも様々な症状に合わせた保存療法があり、種類は豊富

ここまででは、主に骨折やねんざ、腰痛などといった症状についての自宅療養の種類をご紹介させていただきました。しかしもちろん、これ以外にも保存療法に含まれる治療法は、化学療法、言語聴覚療法、心理療法、神経ブロック療法など多々あります。

これらの療法は、例えば化学療法ならガンの治療のために、神経ブロック療法なら治りづらい腰痛などの症状のために、と、別個の症状に合わせて行われる治療法が多いです。この記事で扱う骨折などのケガとは関係ないものも多いですが、これらの療法も大切なものが多いので、小耳に挟んでおいてもいいでしょう。

 

保存療法で治る骨折と治療法について大まかにご紹介しました。いかがでしたでしょうか。一口に骨折と言っても様々な種類があるように、骨折を治す手段についても保存療法と観血療法、運動、装具、物理療法と多種多様に分かれています。

それぞれ体に負担がかかったり、完治までの時間がかかったりと一長一短なので、もしご自身が骨折などの憂き目に遭われた場合は、ご自身に合った治療法について医師の方に少し聞いてみることも良いでしょう。みなさんの健やかな生活をお祈りしています。

 

まとめ

鎖骨骨折でも手術無しで治る?保存療法で治る骨折と治療法

・保存療法とは、体を傷つけない治療法のこと
・軽度の骨折程度なら、ほとんどの場合保存療法で治る
・普通のケガで用いられる保存療法の種類は五つ
・運動療法とは、医師が組んだメニューの運動で治す治療法のこと
・装具療法とは、コルセットで固定する治療法のこと
・物理療法とは湿布などで治す治療法のこと
・他にも様々な症状に合わせた保存療法があり、種類は豊富


連記事