顔のしびれを感じたらすぐ病院へ!疑われる重大な病気とは


身体のある部分が突然しびれだしたら、とても驚きますよね。正座を長時間してしびれるならまだしも、何の前触れもなく起こるしびれ。そんな時は重大な病気の始まりかもしれません。まして顔がしびれるのは人間の味覚、嗅覚、視覚、聴覚に直結していることから普段の生活に支障をきたす場合もあります。

しびれているのが顔だから顔の病気と思ったらそれは大変な間違い、別の場所の病気が原因でその症状が起こっている場合もあります。

そこで今回は顔のしびれで疑われる病気についてお伝えしますので、是非診察前の参考にしてください。ではご覧ください。

顔面神経麻痺

顔面神経麻痺は原因不明のことが多く、一部の顔面神経麻痺はヘルペスウイルスによるものということはわかっています。原因不明の場合は、初めてこの病気を報告した学者にちなんでベル麻痺と呼ばれています。

顔の片側がしびれ、瞼をとじられない、口の片方からよだれ、飲み物をこぼしたり、液体を吸えない、また、歯磨きがうまくできなくなります。風船や笛が吹けなくなります。

外見上も左右がアンバランスになり自覚症状から、また他の方が顔を見た時に違和感があり、発見されやすいです。

治療法はステロイドの点滴を一定期間受けることですが、麻痺の回復は人それぞれです。ステロイドの点滴中は免疫力が落ちますので、治療中は外出は基本的に禁止です。この様な症状が見られたらすぐに耳鼻科を受診しましょう。

 

脳卒中

脳卒中は脳の病気ですが、脳障害がある側の反対側の顔にしびれが出ます。

脳卒中には脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などがあります。三叉神経は脳神経の1つで、その三叉神経が働いているのは顔の神経です。脳に病気がある場合でも顔のしびれが出てきます。

また脳卒中は顔のしびれだけでなく、頭痛、吐き気、意識がなくなり倒れるなどの症状がでます。いつもと違うしびれがある場合はすぐに病院を受診しましょう。

 

脳腫瘍

脳に腫瘍がある場合は、腫瘍が大きくなるにつれ周囲の組織や神経を圧迫します。そのため顔がしびれる場合があります。その他に頭痛、嘔吐、視力障害、めまいなどの症状があります。治療法はガンマナイフを含め手術ですので、脳外科を受診し、専門医の診察を受けましょう。

 

舌痛症

この病気は40-60代の女性に多く、舌がヒリヒリ、またはピリピリとしびれる病気で、しびれには日により、またしびれの場所が違います。その原因はストレスで、気遣いしすぎる性格に原因があります。

治療は抗うつ剤が使われますが、抗うつ剤はうつ病に対する内服薬ですので専門医と相談の上での使用になります。

 

真珠性中耳炎

外耳道、鼓膜の皮膚が中耳の方へ入って真珠のように膨らむ病気です。その大きくなった真珠腫と呼ばれるものが中耳の小さな骨、きぬた骨、あぶみ骨を圧迫することで顔のしびれがひどくなってきます。後天性の真珠性中耳炎から滲出性中耳炎に変わっていく方もいます。

その他の症状として耳だれ、耳の痛み、難聴、骨の破壊が起こってきますので、手術が唯一の治療です。当てはまる症状があれば耳鼻科を受診しましょう。

 

胸郭出口症候群

腕の付け根の周囲の神経や血管の圧迫により起こる病気で、その部分の神経や血管の圧迫が起こり、主な症状は肩~手のだるさやしびれで、顔のしびれや頭痛、吐き気、目のかすみも起こる場合があります。

原因は第1肋骨、鎖骨、斜角筋という腕の付け根の部分にある骨と筋肉によって狭められるために起こります。自然治癒することもあります。

治療としては、軽く肩を動かす運動療法、温める温熱療法、消炎鎮痛剤の湿布や注射、局所麻酔があります。前述の治療で効果がない場合は手術が考えられますが、狭くなっている場所により手術方法が違います。

 

多発性硬化症(MS)

神経細胞には軸索の髄鞘という部分があります。その髄鞘が破壊されたことにより、神経細胞の情報伝達がうまくいかなくなり、麻痺やしびれが起こります。

原因は炎症により免疫に異常が起こることから始まります。症状は色々あるのですが、脳の症状としては顔のしびれ、言語障害、視野の異常(物が2つに見える)などがあります。

治療法はステロイド・パルス療法と呼ばれるステロイド剤の点滴治療がありますが、効果がなければ血漿交換療法を行います。その他にステロイド内服療法があります。

 

さて、顔のしびれで疑われる病気についてお伝えしました。顔のしびれと言っても、顔の病気ではなく、原因は他の場所にあり、生命に係わる病気の可能性もあります。顔のしびれですぐに思いつくのが顔面神経麻痺ですが、顔面神経麻痺は女性の場合、第1印象で見える場所なので、麻痺の回復程度によって引け目を感じたりする可能性もあります。

また、真珠性中耳炎は大きくなった真珠腫が骨を壊してしまうので、そうなる前に病院を受診されることをお勧めします。あまり強いしびれではないからと放っておかないで、早めに病院へ行くことが症状や後遺症が軽くなります。大事に至らぬ前に専門医にご相談ください。

まとめ

顔のしびれで疑われる重大な病気には

・顔面神経麻痺
・脳卒中
・脳腫瘍
・舌痛症
・真珠性中耳炎
・胸郭出口症候群
・多発性硬化症(MS)

などがあります


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