ジブリ映画の代表作のひとつである「火垂るの墓」は、日本の戦時中のある兄弟の物語ですよね。
その悲惨さや、あまりにリアルな戦争下の状況に、観た後は暗い気持ちになる人もいる事でしょう。しかしこれが太平洋戦争末期の真の国民の姿なのだと肝に銘じて、日本国民としてしっかりと観ておいてほしい戦争作品の一つです。
さて、そんな火垂るの墓にまつわる都市伝説も多数飛び交っています。ただでさえ気が重くなる内容なのに、都市伝説を知ってから観ると、ますます胃が重くなるような気がするほど、ヘビーな伝説もあるのです。
そこで今日は火垂るの墓の都市伝説、聞くとゾクッとするウラ設定についてお伝えします。
内容によってはゾクッと背筋が寒くなるかもしれませんが、心して読んでください。新たな視点から作品を見直す機会になりますよ。ではご覧ください。
視聴率の低下
毎年夏の終戦記念日に合わせて、テレビで「火垂るの墓」が放映されていましたが、ここ数年はその慣習も忘れられたかのようにぱったりと放映されなくなりました。
原因は諸説ありますが、一つは「視聴率の低下」だと言われています。単に視聴率の低下だけを見れば、テレビで放映されなくなっても仕方がないとも思えますが、もう少し掘り下げて考えてみてください。火垂るの墓の視聴率が低下するということは、戦争の悲劇に対して現代人の興味が薄れていることを意味します。
戦争を他人事としてとらえている若者が増えているということは、唯一の被爆国である日本と言う国の大きな痛手です。もう二度とこんな悲惨な戦争を起こさないための戒めとして、若者に伝えていきたい内容が詰まっている火垂るの墓を、次世代に伝えていかなくてはなりません。
栄養失調ではない?
作中で妹の節子が、「栄養失調で亡くなった。」とされていますが、実は栄養失調が死因ではないとの都市伝説があります。
もし兄弟の食事摂取量が同じ程度であれば、身体の大きい兄の方こそ先に栄養失調で倒れてしまうはずだからです。
兄は妹のために食料調達に翻弄していますが、妹ほどの衰弱は見られませんよね。それに話しの内容から言っても、節子に回さずに自分一人がたくさん食べるなどという性格の兄ではありません。よって節子の死因は別にあると考えられます。
節子の死の原因
さて、節子の死因が作中で言われているような「栄養失調」ではない場合、いったいなぜ彼女は死んでしまったのでしょうか?
その謎を解くカギもまた、作中のある場面にあります。空襲後に堤防のあたりで、節子が目をこすって「何か入った。」と兄に訴えているシーンがあります。あそこで、節子の目に入ったものの正体こそ、節子の身体を弱らせて死に至らしめたものではないかという都市伝説があるのです。
空襲で町中が焼け出されて、大きな工場なども火事になったと考えられます。節子の眼の中に、工場の爆発など飛び散った化学物質が入ったのではないか?という説があるのです。人体に被害を及ぼす化学物質が原因で、節子の身体が弱り死んでいったとすると、戦争の一歩奥の深い闇が見え隠れします。
ホタルの光は人の魂?
火垂るの墓に登場する無数の螢たち。その輝きは、つかの間ではあるが孤児になった兄弟の心を癒します。
あのホタルの光は、戦争で死んでいった人たちの魂の輝きだという説があります。もちろん都市伝説ですが、そう考えてあらためて作品を観ると、ホタルの輝きのはかなさやもろさが、切なく胸を締め付けます。戦時中の一般人の命も、ホタルの光のようにはかなくもろいものですから。火垂るの墓はそのことを私たちに伝えようとしているのかもしれません。
二人の終わらない物語
火垂るの墓のストーリーの中で、画面がしばしば赤くなります。そして、幽霊のように兄弟の霊があらわれて、憐れなリアルの兄弟を遠くから見つめます。あのシーンの真意はなんなのでしょうか。画面が赤くなる時、節子と清太はなぜ、二組いるのでしょうか。
火垂るの墓を作った高畑監督は、「清太と節子の幽霊を登場させているのだが、気の毒なことにこの体験を繰り返すしかないのだ」と話していました。
父が戦争から戻り、母が行き帰って、元の裕福な家族に戻るという兄弟の夢は、永遠にかなうことはないということでしょう。この世から戦争がなくならない限り、兄弟も永遠に「火垂るの墓」の世界を生き続けるのです。
駅で兄を待つ節子
コアなジブリファンが、「千と千尋の神隠し」を観た時に、節子に似た人物が登場していることを発見したそうです。
ネットでもすぐに都市伝説として語られているそのシーンは、千尋が電車に乗った時の駅のホームにあるそうです。節子によく似たおかっぱの人物が、ホームで誰かを待っているのです。
火垂るの墓の冒頭も駅のシーンですが、先に死んだ節子が駅で兄の来るのを待っているのではないかと連想させますよね。何とも背筋が凍る話しですが、真偽は明らかではありません。
放映されなくなった理由
ここ数年火垂るの墓が放映されなくなった理由の一つとして、集団的自衛権を巡る政府の動きが挙げられます。戦争が視野に入ったから、戦争の悲惨さを伝える作品を一般市民に見せたくない、という単純な理由で、火垂るの墓の放映がなくなったとのことです。
都市伝説ですから真偽は不明ですが、憲法改定などで戦争に向かっているかのようにも思われる政府の動きに、国民も敏感に反応しているからこそこういう想像も生まれるのでしょう。第2第3の節子と清太を産みださないためにも、大人は責任を持って戦争を回避するべきです。
以上、火垂るの墓にまつわるゾクッとする都市伝説についてお伝えしました。
戦争にまつわる話だけに、リアルに感じられる怖い噂もたくさんあります。都市伝説とはいえ、政治的な話しや現代日本のこれからのあり方なども考えさせられる面もあり、勉強になるでしょう。
戦争を遠い昔や遠い国の、自分とは関係ない出来事とは思わずに、現代を生きる自分にも関連深いものとして、あらためて火垂るの墓を見直してみると良いですよね。そういう思いをこめて、作られた作品なのですから。
まとめ
火垂るの墓の都市伝説、聞くとゾクッとするウラ設定には
・栄養失調ではない?
・節子の死の原因
・ホタルの光は人の魂?
・二人の終わらない物語
・駅で兄を待つ節子
・放映されなくなった理由などがあります