正式名称を急性腰痛症と呼ぶぎっくり腰は、捻挫・筋肉の損傷・炎症などの症状の総称です。瞬間的、または一日程度の短期間で非常に強い腰痛になるのが特徴で、ちょっとした動作や緊張している時の動きがきっかけで発症します。もちろん日ごろからぎっくり腰にならないよう、腰を気遣い、予防することが重要ですが、残念ながらやってくる時は突然やってきます。「備えあれば憂いなし」ということで、突然の事態のために、今回は、ぎっくり腰になったとき絶対にやってはいけない5つの事、をお伝えします。
ぎっくり腰になった時
絶対に行ってはいけない5つの事
刺激してはいけない
ぎっくり腰の瞬間、激しい痛みが襲ってきます。すぐにでも病院に駆け込みたいでしょうが、ちょっと待って下さい。冷静になってくると、少し痛みがおさまり、横になると痛みが比較的少ない姿勢が見つかるはずです。
ぎっくり腰には安静が一番。あわてて病院に移動することで、余計に腰に負担をかけてはいけません。無理をして家事や仕事をするなんてもってのほか。痛みが長引いてしまいます。
また、ぎっくり腰の痛みが残っている時にマッサージや指圧、ストレッチも厳禁です。筋肉の損傷や炎症が原因の場合、増々悪化させてしまいます。ぎっくり腰の正確な患部にもよりますが、横向きまたはうつ伏せで寝ていることが、一番の治療です。繰り返しになりますが、安静が一番です。
温めてはいけない
体を温めて血行促進…。ダメです。原因である炎症が悪化します。お風呂に浸かることは、通常であれば血行を促進させる健康に良いことですが、ぎっくり腰の時は避けましょう。「風呂に浸かったら痛みが引いた」といった体験談がたまにありますが、翌日に痛みがぶり返すことがほとんどです。
また、温湿布もよくありません。ぎっくり腰に効果的なのは、鎮痛消炎成分入りの冷湿布です。冷湿布がない場合は氷で冷やすのも有効です。ぎっくり腰は冷やすものです。温めてはいけません。
痛みが治まってから、日常生活に支障がなくなってから、温めて血行促進させることはぎっくり腰の予防につながりますので、その時までは気長に冷やして治療しましょう。
牽引してはいけない
整形外科などの医療機関では、牽引治療という治療法が腰痛に用いられることがあります。首や足を固定して、体を伸ばすように引っ張るという治療法です。脱臼や骨折後の整形や、脊椎・腰椎のヘルニア等を治療するために行われています。
しかし、この牽引治療を筋肉の損傷や炎症が原因のぎっくり腰に用いることは、症状を悪化させかねません。牽引治療は骨の位置を調整すると同時に、筋肉と神経も牽引してしまいます。原因が腰椎など骨の異常でなければ、この治療は適していません。牽引治療を勧められた場合は、整形外科医からその治療を行う理由の説明を受け、納得してから治療を行いましょう。
アルコールを摂取してはいけない
「酒は百薬の長」なんて言いますが、ぎっくり腰の痛みと闘っている最中は、お酒は控えましょう。適量のアルコールは血行を促進させる働きがありますが、その血行促進が痛みを強めてしまいます。
普段なら適量のアルコールは、まさに百薬の長なのですが、お酒で酔って痛みを忘れようなどとは考えないでください。翌日にはさらなる痛みが襲ってきて、後悔することが明白です。ベッドに横になり、痛みが徐々に去っていくのをおとなしく待つのみです。
安静にしすぎてはいけない
ぎっくり腰に襲われたら、ベッドで痛みが比較的少ない姿勢で安静にして、落ち着いたら病院に行く。これがぎっくり腰治療第一歩の正解です。そして医師からは「絶対安静に」と言われて湿布薬を処方されることがほとんどの場合です。そう、絶対安静がぎっくり腰治療の王道なのです。これさえ守っていれば状況は悪化しません。時間が腰を治療してくれます。
しかし、痛みがひいてきたら何をしましょう?「焦ったらまたぎっくり腰をやってしまうかもしれない…。」この不安、とても良くわかります。怖いですからね。「だからもうしばらく、もうしばらくは絶対安静だな。」
ここが最も判断が難しいポイントです。横になって寝続けていると、筋肉が萎縮し始め、心肺機能が低下していきます。筋力が落ちている状態は、次のぎっくり腰を招いてしまう可能性が高いのです。足腰の筋肉が落ちていっても、体重はほとんど変化しません。むしろ、寝たきりで体重が増えてしまう場合もあります。
一般的には、ぎっくり腰後、4〜5日で適度な運動を開始することが望ましいのですが、痛みも筋肉も体重も人それぞれですから、誰にでも当てはまることではないところが難しいところです。無理のない動作をしながら、医師にどの程度の運動を行って良いのか、逐一確認しながら慎重に回復に努めましょう。
過去にぎっくり腰を経験した人ならわかるでしょうが、びっくりするほど、本当に動けなくなってしまいます。絶望的とも思えるほど体の自由がききません。筆者は過去2回、ぎっくり腰を経験しているのですが、1回目のぎっくり腰の後は、日常生活でも腰に負担をかけない動作を心がけていました。それでも2回目をやってしまったのです。
ぎっくり腰の原因には精神的な要因も多く関係しており、緊張状態で血流が悪くなっている時に起こりやすいと言われています。思い返してみれば、筆者も腰を気遣う余裕が無い緊張状態でぎっくり腰を再発していました。予防したくても、なかなかうまく行かないのがぎっくり腰ですね。
また、ぎっくり腰経験者がぎっくり腰を再発する可能性は、未経験者の5倍だと言われています。実に残酷な事実ですが、受け入れるほかありません。人類が二足歩行をするようになってから、ぎっくり腰のリスクは全人類が常に抱えているものでした。ぎっくり腰を必要以上に恐れず、うまく付き合っていくような心構えが必要です。
そして、いざぎっくり腰を発症した時には、落ち着いて上記の「やってはいけない事」を避け、急がばまわれの精神で日常復帰を目指しましょう!
今日のまとめ
ぎっくり腰になった時、行ってはいけない事
・ぎっくり腰の時は、絶対に腰を刺激してはいけません。
・ぎっくり腰を温めてはいけません。ぎっくり腰は冷やすものです。
・筋肉が原因のぎっくり腰の牽引治療は逆効果です。
・ぎっくり腰の時はアルコールを摂取するのはやめましょう。
・動けるようになっているのに、安静にしすぎてはいけません。