崖の上のポニョの都市伝説が語る7つのストーリー

崖の上のポニョの都市伝説が語る7つのストーリー

2008年に公開された、スタジオジブリ制作の映画「崖の上のポニョ」。宮崎監督が映画の構想を練る一環として、モチーフである広島県福山市の鞆の浦に2か月間籠って作品の構想を作り上げるほど熱を入れた作品の一つです。彼が波を描きたいという想いがあり、籠っていた2か月間は波を描くタッチの研究に余念がなかったとか。

映画の中で主人公となるのは、人間になりたい魚の子ポニョと5歳の少年宗介。一見ほのぼのとした幻想的な作品かと思いきや、実は、様々な謎と仕掛けが一杯の作品なんです。そこで、「崖の上のポニョ」の都市伝説から、作品のストーリーの謎を紹介いたしましょう。

 

崖の上のポニョの都市伝説が語る
7つのストーリー

 

洪水後の世界は「あの世」?

洪水の後、船の墓場に辿り着いた父親、空っぽのリサカー、大正時代の夫婦など、死を暗示するようなシーンの後、宗介たちはトンネルに向かいます。宮﨑駿作品でトンネルは異世界への入り口を現しています。

一番有名なのは「千と千尋の神隠し」ですが、「崖の上のポニョ」でも健在です。トンネルの横には地蔵像がありますよね? えっ? トンネルの横に地蔵があって何が悪いのかって? 実は大有りです。

地蔵というのは、日本では道祖神という、村の境界を示す神と合わさって、「ここから先は村の外だ」ということを示す役割があったんです。また、地蔵というのは、三途の川のほとり、賽の河原で石を積む子供の死者たちを救うと言われています。トンネルを通ろうとしたポニョが魚に戻るシーンもありましたね。

鈴木敏夫プロデューサーは、「あっちの世界に行って帰ってくる話というのは、これまでも描かれてきた題材だし、宮さんも取り組んできました。『ポニョ』でそれを突き詰めたと言えるかもしれない」とインタビューに答えています。「あっちの世界」。果たして…?

 

ポニョはワルキューレ?

ポニョの本名は「ブリュンヒルデ」で、これは北欧神話に出てくるワルキューレの一人です。ワルキューレというのは、死者を天国に連れて行くのが役目の、女天使たちです。ブリュンヒルデは、人間の英雄ジークフリートと愛し合いますが、結局はジークフリートを殺してしまいます。つまり、ポニョは天国へ人間を案内する役割を与えられた存在だった…のかも?

 

夫婦を成仏させたポニョ

途中の川の小舟で出会う大正時代の夫婦は、赤ちゃんが心配で成仏できない魂。赤ちゃんを気にしていたポニョは、赤ちゃんにキスをして、夫婦を成仏させます。

 

「3」に示されたメッセージ

作品中で、何故か「3」が良く出てきます。ポニョが眠ったのは三回。グランマンマーレと宗介の三回の問答。リサカのナンバープレートが「333」。実は、これにも意味がありそうです。

キリスト教では、イエス・キリストは「3日目」に復活した、と信じられていますが、実は聖書が書かれた古代世界では、生き埋めや仮死状態のまま埋葬することを避ける為に、葬礼の後に三日間、仮の埋葬をして様子を見て、三日後に本格的に死んだことを確認するための儀式を行う、ということをしていました。つまり、「3」は本当に死んだということ示す象徴的な数字なのです。

 

観音様に助けられた父親

海の中の珊瑚の塔に連れ去られたポニョは、宗介に会いたいと願い、津波を起こします。台風の中、幼稚園を出た宗介は、街に押し寄せる津波の中から、少女の姿をしたポニョと再会します。そして、台風による嵐と津波で街は水没します。とても助かりそうにないように見えますが、何故か多くの人間が生きているように描かれます。父親は、船の墓場に一旦たどり着いているのに、「観音様に助けられた」と言いました。

さて、この観音様。実は、仏教の仏などにはそれぞれ浄土という自分の国を持っていて、観音様は「フダラク浄土」という国を持っています。この「フダラク浄土」、実は太平洋のはるか南にあると言われて、中世の日本では、救いを求めに「フダラク浄土」へ行く為に太平洋に船を漕ぎ出した人たちもいたとか。

また、実は仏教の葬式で、良く唱えられるお経。お経の種類なんか知らない? いえいえ、たまには良く聞いて下さい。実は、葬式で良く唱えられるお経の一つは、観音経。観音様が人を救うという内容のお経なのです。観音様が、死出の旅路に向う死者の魂を守り、救うようにと、観音経が唱えられるわけです。更に、老人ホームのお年寄りたちが、急に足が治ったり、人々が水中でも呼吸出来ることを気にしてないとか、あやしいシーンが目立ちます。

 

子供たちへのメッセージ?

作曲家の久石謙さんは、「崖の上のポニョ」の音楽を作曲するとき、「死後の世界や輪廻、魂の不滅など哲学的なものを取り入れながら、そして子どもたちに理解してもらえる音楽をつくるにはどうしたらよいか。ここに一番悩みました」と語っています。

また、宮﨑駿監督は、「ポニョがポニョを貫き、宗介が宗介を貫く。みんな良かったねというところへ、最終的には向かいました。また海と陸は、この世とあの世とか生と死とか、いろんな言い方ができるが、五歳の子どもが分かってくれればいい」とインタビューに答えています。

 

海に込められた思い

冒頭でも少しお伝えしましたが、「崖の上のポニョ」の舞台のモデルは、ジブリの社員旅行で訪れた、広島県福山市の鞆の浦です。宮崎監督が気に入って、鞆の浦の海に面した、崖の上の一軒家に滞在して、構想を練ったそうです。

鈴木敏夫プロデューサーは、「(宮崎駿監督は)『海も生きものである』。これを表現してみたかったんですね。彼にとって生きとし生けるもの、それは人間だけじゃないんですよね」と制作途中で心中を洩らしています。「もののけ姫」でも描かれた通り、自然そのものと人との関わり。それが宮﨑駿監督が作品に込める思いなのでしょう。

 

いかがでしたか。

「崖の上のポニョ」に込められたメッセージの深さに、驚く人も多いのではないでしょうか。あっちの世界なんて、どきりとすることも書いてありましたが、宮崎監督のこと、深く考えて見ていけばそれ以外にも隠れた物語が見えてきそうですね。そう言えば、海は全ての生物の母といいます。「崖の上のポニョ」を見て、「お母さん」に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

崖の上のポニョの都市伝説が語る
7つのストーリー

・ 洪水後の世界はあの世?
・ ポニョはワルキューレ?
・ 夫婦を成仏させたポニョ
・ 「3」に示されたメッセージ
・ 観音様に助けられた父親
・ 子供たちへのメッセージ?
・ 海に込められた思い


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