頭痛の原因を突き止めねば、何度でも繰り返す4つの理由


今や日本人のうち、3人に1人は「頭痛もち」で、全国で3000万人以上が頭痛で悩んでいるといわれています。ところが、頭痛で悩む人たちが、自分の頭痛の原因について、きちんと理解しているかというと、そうではありません。日本人にとって頭痛は身近な症状ということもあって、よほどひどくない限り、放置している方が多いからです。

しかし、ひどくなると生活に支障をきたす場合や、背後に命にかかわる病気が隠れていることもあります。一言で頭痛と言っても、その原因は様々で、それよって対処法や治療法が大きく異なるため、一歩間違えればかえって痛みが悪化するなど、逆効果にもなりかねません。

つまり、頭痛の原因を突き止めない限り、症状が一時、落ち着いたように見えたとしても、結果的に何度も頭痛を繰り返すことになってしまうのです。そこで今回は代表的な4種類の頭痛の原因についてお伝えします。

 

頭痛の原因を突き止めねば
何度でも繰り返す4つの理由

 

片頭痛は薬物療法を受けないと痛みで生活に支障をきたす

片頭痛は、頭の片側または両側が、ズキンズキンと痛む症状です。発作的に起こるのが特徴で、いったん痛み出すと寝込んでしまうほど、多くの方が日常生活に支障をきたします。また、吐き気や嘔吐を伴うことが多く、普段はなんでもないような光や音に対して過敏になることもあります。

しかし、痛みがおさまると健康な人と全く同じように生活や行動ができ、片頭痛自体が命にかかわることがないので、片頭痛の患者さんは、結果的に適切な治療を受けることなく、何度でも繰り返すことになります。

一般的に片頭痛は、ストレスのある状態を続けたあと、一段落してホッとしたとき(休日など)にも頭痛が起こりますが、当人は、自分がどういう時に片頭痛が起きるのか、頭痛の原因に気づいてない人が多いようです。

では、なぜ片頭痛が起きるのか原因をさぐると、片頭痛の発生の原因には、2つの説があると言われています。

ひとつは、血小板からのセロトニン(血管を収縮させる作用を持つ)が放出されるため一旦脳の血管が収縮したあと、時間の経過とともにセロトニンが分解されていき、減少することによって一度収縮した血管が逆に拡張するために頭痛が起こるというもの。

もうひとつは、脳神経の中で最も大きい三叉神経(顔面周辺の感覚をつかさどる)が関与しているという説で、何らかの刺激によって三叉神経が刺激されることにより、三叉神経の末端から血管を拡張させる作用をもつ様々な神経伝達物質が分泌され、 それらの働きで拡張した血管や、それによって発生した炎症が神経を刺激して痛みが起こるというものです。

片頭痛のおもな治療法としては、薬物療法があげられ、頭痛が起きたら、なるべく早く服用する方がよく効きます。

よく患者さんで、薬は良くないから、どうしても我慢出来ないときだけ服用する、という方がいらっしゃいますが、これは逆に薬の効きが悪くなるので、オススメしません。痛くなったら我慢せず、すぐ服用するようにしましょう。

そのためにも、適切な薬物療法を受けるために、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。

 

緊張型頭痛は、心身のストレスで鈍い痛みが続く

緊張型頭痛は、鈍い痛みでありながら、「我慢できないほどではない」というのが特徴です。ですから、多くの患者さんは「わざわざ病院にいくほどではない」と思ってしまい、いつまでたっても頭痛の原因がわからず、同じパターンを繰り返してしまうと思われます。

実際のところ、多くの患者さんが気づいていない緊張型頭痛の発生には、身体的・精神的なストレスが原因と考えられています。

無理な姿勢の維持や長時間のパソコンの使用によって、頭から肩にかけての筋肉が緊張し血流が悪くなると、乳酸などの疲労物質が筋肉にたまり、 これが神経を刺激して痛みを引き起こすと考えられています。

また身体的なストレスだけでなく、精神的なストレスのみが原因で頭痛を発症するケースもあり、 精神的に緊張した状態が長期間続くと、脳の痛みを調整する部位が機能不全を起こし頭痛を引き起こしてしまうのです。

したがって、生真面目な性格や几帳面さを持った人が緊張型頭痛にかかりやすいと言われ、多くは肩や首筋のこりや眼精疲労を伴います。

先程の片頭痛と比較すると、片頭痛がストレスから解放されてホッとしたときに起こりやすいのに対して、緊張型頭痛はストレスにより頭や首を囲む筋肉が過剰に緊張して起こる傾向があるようです。

また、一般に片頭痛だけの患者さんは、頭痛の無いときには頭がすっきりしているのですが、 緊張型頭痛を併発すると、いつも頭が重い状態が続く場合があります。

心身のストレスが原因の緊張型頭痛は、マッサージ、お風呂に入る、エアロビクスをする、などによってリラックスすることで痛みが抑えられる場合がありますので、片頭痛と併発している場合は、片頭痛の薬の服用に加えて、心身がリラックスできるような生活改善が有効と言えましょう。

 

群発頭痛は原因不明だが、発作的に起こる

群発頭痛とは、副交感神経の刺激により、涙が出る、瞳孔が小さくなる、充血・鼻水・発汗といった症状を伴う頭痛です。患者の多くが男性ですが、患者数は少なく、非常に稀なタイプと言えます。

群発頭痛も片頭痛と同様に発作的に起こる頭痛で、年に数回から数年に1回くらいの頻度で起こりますが、一度発症すると1~2ヶ月にわたって、ほとんど毎日、 ほぼ同じ時間帯に激しい頭痛におそわれます。片側の目の奥が強烈に痛むのが特徴で、同じ側の目や鼻に涙・鼻水・鼻づまりなどの症状が現れます。

しかし、群発頭痛の原因については、残念ながらまだはっきりとしていません。ただひとつ言えることは、群発頭痛の発作が起こっている期間にアルコールを飲むと、必ずといっていいほど頭痛発作が起こるようです。したがって、痛みがある時期は、飲酒や喫煙は控えましょう。

まずは専門医の診察を受けることです。主治医から直接、話を聞くことで、具体的な対処法もわかり、症状の軽減につながることでしょう。

 

注意すべき頭痛は命にかかわる

その他、病気の症状として発生する頭痛の中には、命に関わるような注意すべき頭痛も存在します。

頭痛の原因となる病気のうち、特に危険なものとしては、①くも膜下出血②脳出血③脳腫瘍④髄膜炎、脳炎⑤慢性硬膜下血腫など、以上5つの病気が、頭痛の原因として挙げられます。

これら5つの病気の症状について具体的に解説すると、以下のとおりになります。

①くも膜下出血・・・・・突然激しい頭痛、吐き気や嘔吐を伴う。

②脳出血・・・・・頭痛が徐々に強くなる。手足のしびれ・意識障害・ろれつが回らなくなる。

③脳腫瘍・・・・・頭痛の他に、嘔吐やけいれん・手足の麻痺・言語障害・視力の低下

④髄膜炎・・・・・後頭部に強い痛み。意識障害やけいれん。38度以上の熱、嘔吐。

⑤慢性硬膜下血腫・・・・・頭部の打撲がきっかけに。ぼけ症状、麻痺。

頭痛持ちの人は、このような、くも膜下出血や脳出血・髄膜炎といった危険な病気の症状として起こる頭痛を、ふだんの頭痛と勘違いして病気を悪化させることがあります。症状が進んだときは、もう手遅れかもしれません。

上記の症状を参考にして、いつもと違う激しい頭痛や症状が現れたら、ただちに受診するようにしましょう。

 

いかがでしたでしょうか。頭痛の原因を突き止めないと、何度でも繰り返す理由が、これでおわかりいただけたのではないでしょうか。

しかし、ご自分の頭痛の原因を、病院に行かず、自己判断で突き止めるのは危険です。症状の軽い重いに関係なく、まずは必ず専門の医療機関、「神経内科」または「脳神経外科」を受診しましょう。

病院で診察を受けることで、自分の頭痛の原因を知ることができ、適切な対処法、治療法を知ることができます。また、適切な治療を受けることで頭痛の症状が軽減され、不快な重苦しい頭痛から早く解放されることできます。

たかが頭痛、されど頭痛。たいしたことないと軽んじていると、万が一のとき、手遅れになってしまう危険性もあります。あとで後悔することのないように、早め早めの受診をオススメいたします。頭痛の原因を知って、すぐに治すための行動を起こしましょう。

 

今日のまとめ

頭痛の原因を突き止めねば、何度でも繰り返す4つの理由とは

・片頭痛は、早く薬物療法を受けないと、痛みで生活に支障をきたす
・緊張型頭痛は、心身のストレスで鈍い痛みが続く
・群発頭痛は、原因不明だが発作的に起こるので専門医に相談しよう
・注意すべき頭痛は、命にかかわるので、すぐさま病院へ


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