手術が決まった。不安で仕方ない。全身麻酔をするというが「手術の事故で一番多い理由が全身麻酔だ」とも聞くが大丈夫だろうか?とお思いの方のために今回は「全身麻酔のリスクを下げる!自分で出来る方法」についてまとめさせていただきました。「手術の事故で一番多い理由が全身麻酔だ」は間違いではありませんが、正確でもありません。
というのは「全身麻酔」は痛みやストレスから患者を保護するために使われるものですが、他の局所麻酔や腰椎麻酔と比べると大きな手術や緊急性のある手術に使われる事が多いので、通常の状況で計画的に手術を行った時、他の麻酔方法とリスク的に変わりはほとんどありません。
とはいえ、全身麻酔のリスクを自分で下げるための方法があるのであれば頑張りたいという方に「自分でできる7つの方法」を紹介させていただきます。
全身麻酔のリスクを下げる!自分で出来る方法
虫歯や歯槽膿漏がある時は治療を済ませてから全身麻酔をする
全身麻酔をすると呼吸も止まってしまうので人工呼吸器をつかって呼吸します。人工呼吸器を使う時は口から気道までチューブを挿入します。
このチューブを挿入した時に歯槽膿漏や虫歯があると歯が抜けてしまうだけでなく、抜けた歯が気管内に落っこちてしまい気管チューブを挿入するまでに時間を要してしまったり、手術後に肺炎を起こしてしまうリスクが起きてしまいます。
喉の痛みや声のかすれを防止するために禁煙や風邪をひかないようにしましょう
喫煙者は自覚症状がなくても慢性的に喉の炎症を起こしています。炎症があると気管チューブを入れた時に炎症がない人に比べて気管内の分泌物が増えてしまい、頻回に吸引しないと気道が確保できない状況になってしまいます。風邪をひかないというのも同じ理由です。
外出する時は「うがい・手洗い・マスク」をしましょう。
麻酔前後の不快症状を軽減するために腹式呼吸を練習しましょう
普段意識しない状態の呼吸を胸式呼吸といいます。腹式呼吸はお腹に手を置いた状態で呼吸と共にお腹が動くようにする呼吸を言います。腹式呼吸をマスターすると麻酔導入時の麻酔医の指示で慌てなくて済みますし、手術後半覚せいの呼吸が安定するので人工呼吸器が早めに外せたりします。
糖尿病や高血圧など生活習慣病のある人は特に生活習慣に気をつけましょう
糖尿病や高血圧などの生活習慣病は普段から末梢血管に負担をかけています。血液も他の生活習慣病を持っていない人よりドロドロしていて血管を詰まりやすい状態です。ドロドロしていている血液があると脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めてしまいます。もとから行っている治療の継続はとても重要です。
さらに、これまで以上にカロリー制限や塩分制限、適度な運動、十分な睡眠をとるように心がけましょう。
全身麻酔後のお腹の張りを軽減するためにお腹のマッサージをしましょう
全身麻酔後に患者様が困る症状の上位にお腹の張りや便秘があります。全身麻酔前後には絶食状態になり、普段と排便間隔が不規則になる事と、麻酔の影響で腸の蠕動運動が抑制されている為、腸にガスが溜まってしまったり、スムーズに排便できなくなってしまいます。食事も最初はおかゆからになるので食物繊維もとれません。
なので、お腹をマッサージして腸を動かしてあげましょう。お腹に直接「の」の字を書くようにマッサージしても良いですし、お腹に傷がある時には脇腹をさする、肛門の筋肉を閉めたり緩めたりするだけでも不快症状は楽になります。
食後は横になり肝臓をいたわる生活を送りましょう
肝臓の機能に解毒作用があります。麻酔薬は毒ではありませんがもともと身体の中にあったものでないので、代謝することが必要です。手術前に多量のアルコールを摂取したり、過度な運動をしてしまうと肝臓に負担をかけてしまいます。
負担のかかった肝臓がさらに麻酔薬を解毒する事はオーバーワークとなり、免疫機能を低下させてしまいアレルギー症状を起こしてしまったり、麻酔後の覚醒を遅くしてしまう事もあります。手術を受ける時は肝臓にも余裕をもたせて望みましょう。
麻酔の問診に必要な情報を収集しましょう
全身麻酔を行う前には麻酔事故を起こさないために問診を行います。普段の生活習慣や麻酔に対する不安の程度などが効かれますが、その中でもアレルギーや麻酔後の悪性高熱症の既往はとても重要です。
アレルギー体質は本人のもともと持っている物なので簡単に答える事が出来ますが、悪性高熱症は遺伝子に原因があるものなので家族や近親者で手術後高い熱があった人がいる時はきちんと医師に伝える事が必要です。
全身麻酔は手術を行う時に痛みを和らげたり、安全に手術するために必要不可欠な処置です。必要な処置だからこそ安全に手術が出来るように自分でできる方法は積極的に行って欲しいです。
全身麻酔は心身ともに大きなストレス状態になってしまうのですが、自分で出来る方法を実践していたのと、していないのはストレスを受ける程度に大きく影響してきます(手術前に頑張った分だけストレスは軽減します)。
全身麻酔が必要な手術の原因となっている病気は様々ですが、どんな手術でも一大事である事に変わりありません。今回紹介させていただいた7つの方法をお試しいただければ幸いです。手術が無事終了されるよう祈っています。
まとめ
全身麻酔のリスクを下げる!自分で出来る方法
・虫歯や歯槽膿漏がある時は治療を済ませてから全身麻酔をする
・喉の痛みや声のかすれを防止するために禁煙や風邪をひかないようにしましょう
・麻酔前後の不快症状を軽減するために腹式呼吸を練習しましょう
・糖尿病や高血圧など生活習慣病のある人は特に生活習慣に気をつけましょう
・全身麻酔後のお腹の張りを軽減するためにお腹のマッサージをしましょう
・食後は横になり肝臓をいたわる生活を送りましょう
・麻酔の問診に必要な情報を収集しましょう