毎日普通に何気なく生きていく。健康なときは、これが当たり前ですよね。ところが、病気になってから改めて健康の大切さに気付き、節制しようとするけれども、また何日かしたらいつも通りの生活に戻ってしまう・・・「健康は幸せ」と考えられる人も多い事でしょう。
普段から「自分は今健康で幸せだなぁ」と思える人は少ないかもしれませんが、健康だからこそ得ることができる幸せがたくさんあります。健康の幸せ・大切さは、失ってみないとなかなか気づくことができません。かといって、大切さを知るために、健康を失いたくはないですよね。
しかし、普段自分たちは健康だと思っていても、突然かかる病があることをご存知でしょうか。そこで今回は、そんな意外と身近にある、しかし珍しい病気についてお伝えします。ではご覧ください。
珍しい病気はどんなものがある?
意外と身近に起こりうる病
過去に目に傷を負ったことから・・・再発性角膜上皮剥離
黒目=角膜は傷ができると非常に痛みを強く感じますが、治るのも早い場所です。ただ、ある程度の大きい傷ができて治ったあと、数週間から数か月して同じ場所の上皮がはがれてしまうことがあり、再発性上皮剥離と呼ばれています。
この病気の訴えとしては「朝、目が覚めたとき、突然眼が痛くなった」「以前にも同じ症状(突然の激痛)があった」「眼のけがをしたことがある」等がこの疾患の共通項です。細隙灯で見ますと、目やにと思ったのははがれた上皮の丸まったもので、その部分の角膜は上皮がはがれています。多くの症例では、発症前に起きた爪などによる角膜の外傷があります。
さらに重症化すると・・・角膜潰瘍
前項の角膜上皮剥離と異なり、角膜の表面の上皮だけでなく、その奥の実質にもにごったり、薄くなったりといった影響が出ている場合は角膜潰瘍といわれます。より重症であり、治ったあとも視力障害が残ります。
場合によっては角膜穿孔(かくまくせんこう)といって、角膜に孔(あな)があいてしまうことがあり、失明に至るケースもまれにあります。眼のころつき、痛み(時に激痛)、白目の充血が起こり、瞳にかかる部分に潰瘍ができると、かなり視力が低下します。涙もたくさん出ます。
細菌性や真菌性の場合は、目やにがかなり多量に出ます。時に痛みを伴わないことがありますが、この時は角膜の神経が障害されており、かえって治りにくいのが特徴です。
自分の声が耳に大きく響いたりする・・・耳管開放症
耳管開放症とは耳の奥と鼻の奥とつながっている管(耳管)が開きっぱなしになるために起こる病気です。耳がふさがった感じがしたり、自分の声が耳に大きく響いたりする病気で、時にはめまいや軽い難聴が起こります。
不快な状態が続くと精神的にイライラしてきます。耳管開放症という病気は、どちらかと言えばマイナーな病気のため、この病気を専門にしている医療施設は残念ながらまだ多くはありません。
しかし、最近は以前に較べて患者さんの数が増えて来て、その症状がかなり日常生活に支障をきたすことがわかってきたため、積極的にこの病気についての臨床研究がなされてきています。
回転性めまいや吐き気・・・メニエール病
メニエール病の特徴として、内耳からくる回転性のめまいや吐き気が起こります。これが発作として繰り返す病気なのです。直接の原因は、内耳が内リンパ水腫を起こし、内圧があがるからです。
しかし、なぜ内リンパ水腫を起こすのかというと、その根本的な原因は分かっていません。アレルギーや血流不全、ウイルス、免疫の低下、ストレスなど、様々なケースが言われていますが、ハッキリとしたことは分からないのです。ストレスの観点からすると、内耳が元々弱いところにストレスが加わり、メニエール病が発症するのではないかと考えられています。
また、未開発の国に少ない病気なので、ストレスが大きく関わっているのではないかと言われています。働き盛りの30〜50代の男性がかかりやすいのも、ストレスが原因ではないかと言われることになっているのではないでしょうか。機構の変化や季節の変わり目、低気圧や前線の接近などで発作が起こりやすいことが分かっています。
みずぼうそうのウイルスが・・・?帯状疱疹
体の左右どちらかの片側に、帯のように水ぶくれ(水疱すいほう)の集まりができる疼痛を伴う病気で、水痘すいとう・帯状疱疹ウイルスの感染で起こります。
子どもの時にほとんどの人はみずぼうそう(水痘)にかかります。しかし、それが治っても、このウイルスは三叉さんさ神経(顔面を支配)や脊髄せきずい神経(顔面を除く体の皮膚を支配)の知覚神経節に、遺伝子の形で潜伏しています。
それが長い期間をへて、ストレスや過労などで体の抵抗力が低下すると、遺伝子の形からウイルス粒子に変わって再び活動を始め、神経を伝わって皮膚に現れて炎症を起こします。これが帯状疱疹です。
寝ている間に呼吸が止まる・・・睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは睡眠中に10秒以上の呼吸が停止、つまり無呼吸が5回以上繰り返される病気です。
主に、いびきや昼間の眠気、熟睡感がない、起床時の頭痛などの症状があります。また、SASは生活習慣病と密接に関係しており、放置すると生命の危険に及ぶこともあります。また、SAS特有の眠気は交通事故を起こす危険もあり、早期に適切な治療をすることが大切です。
SAS患者さんの多くは高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病を合併しています。放置すると生命に影響を及ぼすことがあります。最近では肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症の「死の四重奏」に「SAS」を加え、「死の五重奏」と言われることもあります。
それほどSASは生命に関係している疾患です。しかし、SASを治療することで「四重奏」を軽減できたり、予防することもできます。
尿がうまく排出できなくなると・・・腎盂腎炎
腎盂腎炎とは細菌が尿道を経て膀胱の中に入り、尿管を逆流して「腎盂(じんう=腎臓の中で作られた尿を集める場所)」に入って炎症を起こす感染症です。 一般的に「腎盂炎」と呼ばれることがありますが、細菌は通常、腎盂の中だけでなく腎臓の中心部(腎実質)にまで逆流し、腎盂で起こった炎症は腎実質にまで広がることがほとんどですので、医学的には「腎盂腎炎」と言うほうが正しいです。
炎症が悪化すると、腎実質に膿がたまる腎膿瘍(のうよう=膿の溜まり)を引き起こすことがあり、炎症が腎臓全体に及び、その周りに広がることもあります。健康な人の腎臓や尿管、膀胱には普通細菌はいません。
外界に近い尿道下部にはいても流れてくる尿に阻まれ、尿路の上部に向かうことはできません。しかし何らかの理由で尿がうまく流れにくくなると、細菌が上のほうに逆行してしまいます。腎盂腎炎の感染経路の大きな特徴であります。膀胱炎、尿道炎、前立腺肥大、尿路結石などは尿を流れにくくする原因になってしまいます。
膀胱内に侵入した細菌が遡る形で腎臓に侵入し、感染を起こして腎実質に及んで腎盂腎炎になり、血液の中に広がって菌血症、敗血症になるというのが、この病気のメカニズムです。
いかがでしょう、いずれも、普段不健康を自覚していなくても、ちょっとした積み重ねでいつ自分が発症してもおかしくない病だったり、あまり有名でないからこそ他人からわかってもらえないことが多い病です。症状だけ見ると、普段なにげなく感じるちょっとした不調だったりし、放置しがちになってしまいます。
この7つの病気を知っているだけでも、重症化する前に気付けるかもしれません。「あ、もしかしてあの病気かも?」と思うことがあれば、ぜひ早めに受診をしてみてください。何もなければよいですし、早めに気付ければそれだけで重症化を防げるかもしれません。この記事が少しでもあなたのお役にたてることを願っています。
まとめ
珍しい病気はどんなものがある?意外と身近に起こりうる病
・過去に目に傷を負ったことから・・・再発性角膜上皮剥離
・さらに重症化すると・・・角膜潰瘍
・自分の声が耳に大きく響いたりする・・・耳管開放症
・回転性めまいや吐き気・・・メニエール病
・みずぼうそうのウイルスが・・・?帯状疱疹
・寝ている間に呼吸が止まる・・・睡眠時無呼吸症候群
・尿がうまく排出できなくなると・・・腎盂腎炎