やなせたかし原作の「アンパンマン」。元は絵本で、現在はTVアニメとして放映され、長寿番組となっています。映画やマンガなど、派生メディアやグッズも多岐に渡り、まさに国民的コンテンツと言っても過言ではないでしょう。
その「アンパンマン」。実は様々な都市伝説に彩られた、ミステリアスな作品なんです。あんな明るい作品のどこにって? いやいや、ちゃんとよく観て下さい。実はアンパンマンには、秘密が山ほどあるのです。ここでは、そんなアンパンマンの秘密が詰まった都市伝説を集めてみました。
アンパンマンの秘密が、
いっぱい詰まった9つの都市伝説☆
発想のきっかけは戦争体験
日華事変が起こり、24歳の時に中国へ出征したやなせさんは、飢えに苦しみながら正義を信じて戦いましたが、敗戦で、やなせさんが信じたはずの正義が一変します。やなせさんの自著『アンパンマンの遺言』(岩波現代文庫)には
正義のための戦いなんてどこにもないのだ 正義はある日 突然反転する 逆転しない正義は献身と愛だ 目の前で餓死しそうな人がいるとすれば その人に 一片のパンを与えること
と書かれてます。その為、アンパンマンは最初、力がなく、ふらふらと不格好に飛んできてアンパンを配ることしか出来ないヒーローで、言ってみれば、ちまたに溢れるヒーロー像に対するカウンターパンチだったわけです。
元は中年男だったアンパンマン
「アンパンマン」は元々、1969年に「PHP」誌に連載されていた、大人向けの『こどもの絵本』(単行本タイトルは『十二の真珠』です)の第10回連載である、「アンパンマン」(10月号掲載)。このときのアンパンマンは、頭は普通の人間ですが、空を飛ぶことができ、独裁国家だろうが紛争地帯だろうが単独で乗り込んで、空腹の人にアンパンを配るというヒーローでした。
しかし、お世辞にも美男とは言えない容姿で、世界中の人々から戦う力を持たない気持ち悪い男と軽蔑され、救った子供たちからもダサいとバカにされます。最後には軍隊に敵機と間違われて撃たれ、尊敬されないまま、誰にも知られず、誰からも惜しまれずに果てるという、悲しい最期でした。
実は今のアンパンマンは三代目
1973年、中年男だった初代アンパンマンを発展させたキャラクターとして、あんパンでできた頭部を持つ「あんぱんまん」が「キンダーおはなしえほん」(フレーベル館)10月号に登場しました。やなせたかし初の幼児向け絵本で、二年後の1975年、キャラクター名を片仮名に変更した続編の絵本『それいけ!アンパンマン』が出版されます。
自己犠牲の権化のようなヒーローで、顔半分が食べられることも珍しくなく、貧困に苦しむ人々を助ける内容でした。体型も最初は八頭身で、人助けし過ぎて頭をほとんど食べられてしまい、砂漠で死にそうになった場面もあるなど、今とはだいぶ雰囲気が違います。しかし、まだまだ子どもには難しく、また、高度経済成長というイケイケドンドンの時代にも合わない事もあり、編集部から「こんな話、二度と書くな」と酷評されたとか。
登場人物のモチーフは「風とともに去りぬ」
ドキンちゃんはスカーレット・オハラを、ばいきんまんはレット・バトラーを、しょくぱんまんはアシュリーを表しているとか。もっとも、ドキンちゃんとしょくぱんまんの関係は原作と違いますが。
また、やなせ氏によると、ばいきんまんはアンパンマンと戦う為だけに生まれた存在で、アンパンマンと永遠に戦う宿命なのだとか。アンパンマンが自己犠牲を表わしているのに対して、ばいきんまんは欲望を示していて、人間に良い心と悪い心の両方があるように、二人は光と影の関係であって、ばいきんまんは決して死ぬことはないそうです。
「アンパンマン」の世界に人間はいない
あれ? ジャムおじさんとバタコさんはどうなの? とお思いでしょうが、実は二人は妖精。パン工場がある場所は、元々の設定は地球の日本だったそうですが、今は架空の世界である「アンパンマンワールド」が舞台になっています。バタコさんはジャムおじさんの「孫」だという設定もあったと言われますが、今は完全に無関係の設定です。そして、二人はアンパンマンワールドの住民にパンを届けるのが仕事だとか。
主題歌「アンパンマンマーチ」は特攻隊をうたった歌
おおっと! 歌詞を全て紹介しながら書きたいのですが、世の中にはうるさい人達がいるので、一部の引用だけで控えさせて頂きます。
1番の「今を生きることで 熱いこころ燃える だから君はいくんだ ほほえんで」
2番の「忘れないで夢を こぼさないで涙 だから君はとぶんだ どこまでも」
3番の「時ははやくすぎる 光る星は消える だから君はいくんだ ほほえんで」
とても幼児向けヒーローの歌とは思えない深い言葉ですが、それもそのはず、主題歌の歌詞は、海軍の特攻隊で22才で死んだ、やなせ氏の弟さんを思った内容なのだとか。そう考えれば、「愛と勇気だけが友達さ」という歌詞も、死地へ向う特攻隊員の姿がダブって来そうです。
アンパンマンという名前の小惑星がある。
1997年に、愛媛県の久万高原天体観測館で発見された小惑星で、2003年に命名されました。当然、アンパンマンにちなんだ命名です。また、「やなせ」という名前の小惑星もあります。
交換後の顔はどうなる?
交換された古いアンパンマンの顔はどうなるのか、気になりませんか? 実は、交換して体から離れた古い顔は、新しい顔が体に装着した時に消えて失くなるのだとか。古い顔が放置されて、そこらかしこで腐っていたらシュールな光景ですが、そんな事は無いようです。
ばいきんまんの生みの親はジャムおじさん?
ええっ!? そんな馬鹿な話が…? 確かに、本当にそうなら、知らない振りをしているジャムおじさんは相当「ワル」です。しかし、これには深い因縁めいた都市伝説があるのです。アンパンマンワールドには、山ほどキャラクターがいますが、決して現れない存在があります。その存在が「ジャムパンマン」。カレーパンマンもしょくぱんまんもメロンパンナちゃんもいるのに、何故「ジャムパンマン」だけいないのか。
実は、アンパンマンが生まれる前、ジャムおじさんは、ヒーローとしてジャムパンマンをつくりだそうとしていたのです。しかし、その試みは完全に失敗。ジャムパンマンは全身がカビだらけになり、そこからばいきんまんが生まれます。そして、カビだらけのジャムパンマンの中身のジャムからドキンちゃんが生まれたとか。そう言えば、ドキンちゃんも出生が明かされていませんでした。ばいきんまん達が決してパン工場を攻撃しないのも、生みの親が誰か知っているからだとか。もしこの都市伝説が本当なら、アンパンマンがかわいそうかも。
いかがでしたか。
夢の溢れる正義のヒーローにも、原作者の、やなせたかし氏の深い思いが込められていて、設定一つを取ってみても、考えさせられる話ではないでしょうか。「アンパンマン」は二代目の絵本の時に、子どもたちから次第に人気を得るようになり、子どもに合わせて姿も八頭身から三頭身へと変わり、夢とファンタジーに溢れる正義のヒーローとして描かれますが、そこには色々な秘密が隠されていたんですね。
まとめ
アンパンマンの秘密が、
いっぱい詰まった9つの都市伝説☆
・ 発想のきっかけは戦争体験
・ 元は中年男だったアンパンマン
・ 実は今のアンパンマンは三代目
・ 登場人物のモチーフは「風と共に去りぬ」
・ 「アンパンマン」の世界に人間はいない。
・ 主題歌「アンパンマンマーチ」は特攻隊をうたった歌
・ アンパンマンという名前の小惑星がある。
・ 交換後の顔はどうなる?
・ ばいきんまんの生みの親はジャムおじさん?