お尻の真ん中あたりが痛い!尾骨を骨折しているかもしれない!今日は、そんなときに考えられる症状についてお伝えします。まず、尾骨とは何でしょう。ヒトは、進化の過程で、元々持っていた器官が退化してしまった組織を持っています。
かつてあった器官の名残とも言えましょうか、そのような器官として、虫垂、瞬膜ひだ、副乳、立毛筋などがありますが、尾骨(尾てい骨、または仙骨)もその一つなのです。ヒトがまだサルと分化してなかった時、尻尾を持っていた名残です。
普段気にしないこの尾骨、骨折するとかなり嫌なものですので、今からお伝えする尾骨骨折の怖れや考えられる症状を是非診療前の参考にしてください。ではご覧ください。
尾骨骨折の怖れあり!
考えられる症状を徹底究明
お尻の真ん中が痛い
実は、尾骨は良く曲がります。階段から落ちた、スキーで尻もちをついた、という程度でも呆気無く曲がり、尾てい骨打撲になります。また、中年女性だと分娩や腫瘍などが原因で、椅子に座る時や歩いている時、トイレの時に、お尻の真ん中あたりが焼けるように痛くなることがあります。
これは尾骨痛と言われ、良く痔と間違えられます。他にも尾骨神経痛などがありますが、怖いのは、排尿が出来ないほどの痛みがある場合。この時は、尾骨骨折の可能性が高いです。
うつ伏せになると痛むが、歩行時、座っている時には痛みが出ない
尾骨痛だと、座っている時に痛みが出ますが、尾骨骨折だと、逆に出なかったりします。しかし、うつ伏せになると激痛が走る場合、尾骨骨折の可能性があります。仰向けでも寝ることが出来なくなりかねないので、ストレスがたまります。
ちなみに、尾骨の骨折やひびも、治療方法は特にありません。鎮痛剤を投与して、安静を保つしかないのです。
妊娠中のお尻の痛み
女性ホルモンの一種で、卵胞ホルモンたるリラキシンは、妊娠三ヶ月目に分泌されます。赤子が産道を通りやすいように、このリラキシンは、骨盤の靭帯を緩ませます。この時に尾骨が痛むわけです。また、胎児が成長すると、子宮が骨盤を圧迫して、坐骨神経痛が生じます。
妊娠初期なら、専用のベルトで骨盤を安定させたり、四つん這いで背中を丸めたり反らしたりというストレッチを行うと、痛みが和らぐことがあります。しかし、それで痛みが和らがず、激しい場合、尾骨が骨折している可能性があります。
尾骨が出ていて、その部分が痛む
元々は尻尾なので、何らかの形で尻尾のように尾骨が尻から出ている場合があります。実は、骨を削る手術があるのですが、あまり一般的ではありません。何故なら、尾骨は痕跡器官とは言え、交感神経も副交感神経も通う、極めて厄介な器官。扱いが難しい部位なのです。
尾骨は前述のように曲がりやすく、また、強い衝撃があると骨折するので、外に出ている尾骨を無闇に弄くるのは危険です。勿論、外に出ている尾骨が痛むなら、尾骨骨折の可能性があります。
椅子に座ってられないほどの激しい痛み
尾骨打撲の可能性がありますが、尾骨は割りと簡単に前方へ骨折します。ずれたり骨折したりした尾骨を治療する方法は、勿論外科手術を行う場合もないわけではないですが、事実上、ほとんどありません。
医学の教科書では、「放置していても治療する」とさえ書かれていて、鎮痛剤を投与して安静にしている間に治るとされているのですが、尾骨が損傷している限り、痛みは続きます。慢性尾骨痛状態になれば、まさに地獄の日々とも言えるでしょう。
慢性尾骨痛に対しては、日本では一例だけ尾骨切除手術がなされていますが、あまり認知されていません。ただし、海外では慢性尾骨痛に対して、尾骨切除手術はそれほど珍しくありません。
お尻が痛く、熱が出る
骨盤内膿瘍が合併している尾骨骨折の可能性があります。血液検査をした際に、白血球が17300、CRP16.9の数値が出てきます。非常に珍しい…というか、稀な症状です。
骨盤内膿瘍が形成されるのは、産褥や帝王切開手術後などで、分娩などに伴う骨折であると思われます。
下血と内出血班がある
触っても、動いてもお尻が痛い時に限りますが、下血や内出血がある場合は、尾骨骨折の可能性があります。
特に、骨折転位が大きい場合は、直腸を直撃している可能性があるので要注意。自律神経のバランスが崩れ、下痢、便秘、寝付けない、車酔い、生理痛などの症状が合併している場合もあります。カイロプラクティックなどで、骨盤矯正をする場合もあります。
痛みやしびれは、神経線維が圧迫されることで起こるのですが、痛みを伝えるC繊維(神経でも比較的細い)が繰り返し刺激されたままでいると、刺激なしにシナプスが興奮するようになります。(これを長期増強と言います)
痛みの原因である損傷がなく、神経が全く興奮していなくても、痛みだけが伝わる場合があります。これを慢性化と言い、場合によっては、うつ症状などの合併症を伴うこともあります。
さて、強い衝撃や出産に伴って起こる尾骨骨折。通常の生活でも、また、人間として自然な営みでも起こり得る、そしてほぼ放置される、厄介な怪我です。
尾骨骨折はレントゲンでも分からない場合も珍しくなく、その場合は患部近くの状態を見て総合的に判断されるのですが、何にせよ、自分で勝手に判断せずに、何か異常があればただちに専門家の下に駆け込むことをオススメします。
まとめ
尾骨骨折の怖れや考えられる症状には
・お尻の真ん中が痛い
・うつ伏せになると痛むが、歩行時、座っている時には痛みが出ない
・妊娠中のお尻の痛み
・尾骨が出ていて、その部分が痛む
・椅子に座ってられないほどの激しい痛み
・お尻が痛く、熱が出る
・下血と内出血班があるなどがあります