膝蓋骨骨折してしまった!様々な折れ方による症状と治療法

膝蓋骨骨折してしまった!様々な折れ方による症状と治療法

膝蓋骨骨折は膝の外傷の中でも比較的よく見られる骨折です。膝蓋骨は膝関節の前にある、いわゆる膝の皿と言われるところで、皮膚のすぐ下になります。膝を曲げる時に重要なはたらきをしているので、骨折すると膝は伸ばすことが出来なくなります。

転倒や交通事故などによって膝を強く打った時などに骨折します。また、大腿四頭筋に急に強く外圧が加わると膝蓋骨は中央で上下の2つに割れて横骨折する危険があります。分かり易い例で言うと空手やキックボクシングで太ももにローキックを受けた場合に起こる骨折です。

膝蓋骨骨折は強い痛みを伴い、膝関節血症が起こり膝は自動的に曲げられなくなります。また折れ方も様々なケースがあり、治療法が違ってきます。以下にケースごとの骨折症状と治療法をご紹介します。

 

膝蓋骨骨折してしまった!
様々な折れ方による症状と治療法

 

まず膝周りの関節や筋肉の構成について簡単に記載します。膝蓋骨を支点に上部に大腿四頭筋腱があり、そこから膝蓋腱膜と呼ばれる膜が膝頭を覆うところまで連続して付着しています。また膝蓋骨の下部には膝蓋靭帯が付着していています。

以上の大腿四頭筋腱、膝蓋骨、膝蓋靭帯からなる仕組みを膝伸展機構といって膝を曲げたり伸ばしたりする際の支点になり、膝の伸展筋力を発揮できる仕組みとなっています。

横骨折

膝蓋骨の横に骨折線が入った骨折の状態を言います。膝骨折で最も多いパーターンです。膝を強く打ったことにより骨片が上下に離開してしまいます。

<治療法>
骨片の離開の無い場合は手術の必要は無く、3~5週間くらいのギブスの固定で大丈夫です。骨片が上下に離開した場合は、キルシュナー鋼線とワイヤーで固定する手術を行います。術後はギブスの固定は必要ありません。リハビリは早めに開始します。

 

縦骨折

膝蓋骨に縦に亀裂が入った場合の骨折です。レントゲンを正面から取った写真では骨折線が判別出来ないので、軸写撮影という輪切りにしたようなレントゲンの撮影で骨折線を確認します。正面の写真だけでは大腿骨に隠れて縦の骨折線が見えない可能性が高いので、打撲と診断されてしまうので、軸写撮影は縦骨折の場合は大変重要です。

<治療法>
基本的に横骨折の場合と同じ手法がとられますが、横骨折に比べて比較的安定しやすい骨折と言えます。

 

粉砕骨折

膝蓋骨にいくつもの骨折片が生じる骨折です。骨折片の程度がひどい時は手術が必要となります。ランニング中に躓いて転倒し、膝を強く打った場合など粉砕骨折のリスクが高いです。

<治療法>
骨がはっきりと割れているケースでは手術して針金で固定し9か月以降再度手術して針金を抜くという処置を行います。この手術のメリットはリハビリに取り掛かる時期を早くできることです。デメリットは手術代が高額になることです。手術をせずにギブスで固定して、出来るだけ安静を保つ方法もありますが、デメリットはリハビリに取り掛かる時期が遅くなることです。

 

複雑骨折

膝蓋骨骨折に限らずあらゆる骨折に複雑骨折は起こる可能性はあります。粉砕骨折とも呼び激しい運動による圧迫やバイクの転倒事故などによる衝撃が原因です。応急処置として骨が皮膚を傷つけた場合は、まず消毒して止血することが肝心です。

<治療法>
保存療法と呼ばれる治療法が多く用いられます。整復で骨の位置を修正し、ギブスで固定したうえで自然に傷が癒え回復するのを待つ方法です。複雑骨折は亀裂が多く発生しているので、治療に多くの時間を必要とします。

 

膝蓋骨骨軟骨骨折

10~20歳の女性に比較的多く発症する症状で、膝蓋骨脱臼に伴い関節内血腫が起こることがこの骨折の特徴です。膝蓋骨が脱臼してから戻る際に大腿骨の凸部とぶつかり、骨軟骨骨折を引き起こします。膝蓋骨の内側に軟骨の骨片が剥離した状態になりますが、X線でも見分けが付けづらいことが難点です。

<治療法>
膝蓋骨脱臼用のサポーターやテーピングを使って膝蓋骨を保護しながら4週間ほど過したのち、軽傷ならば日常生活に不自由は無い状態に復帰できます。スポーツなどに復帰する場合は膝関節内側膝蓋大腿靭帯と言われる靭帯の手術を行うことがここ数年の主流処置です。

 

スリーブ骨折

10~15歳前後の成長期の子供に多い骨折で膝蓋骨下端の剥離骨折のことを言います。膝を伸ばすことによる大腿四頭筋の収縮により骨折することもあります。例えばバスケットボールのプレー中にシュートをしようとして膝を伸ばした時にスリーブ骨折を起こしたという実例もあります。

<治療法>
ギブス固定とリハビリで完治するケースがほとんどですが、まれに手術が必要な場合があります。

 

分裂膝蓋骨

厳密には膝蓋骨骨折とは区別するものですが、症状が似ているので混同しやすい外傷です。状態は正常ではひとつの骨である膝蓋骨が2つ以上に分裂している状態をいいます。症状は運動中や運動後に膝のお皿のやや外側上方がジンジンと痛むことが多いです。

<治療法>
ストレッチで太もも前面の筋肉ほぐし、膝周囲の筋力トレーニングを行い、分裂部に負担をかけない膝の使い方を習得します。この治療法で効き目がない場合は、分裂骨片の摘出や分裂部を接続する手術を行うことになります。

 

いかがでしょう。膝の骨折は症状によっては元の状態に戻るまでに1年以上かかることも珍しくありません。また正しい治療を施さないと膝が元通りにならないこともあります。スポーツ中の事故を防ぐには十分なストレッチなどの準備運動を行うことが必要です。

バイクでの転倒事故は重傷の骨折に繋がるリスクが非常に高いので十分注意が必要です。高齢者の場合、躓いて転倒して膝を強打する危険もありますので、ランニングや歩行時は十分気を付けましょう。

まとめ

膝蓋骨骨折してしまった!様々な折れ方による症状と治療法

・横骨折
・縦骨折
・粉砕骨折
・複雑骨折
・膝蓋骨骨軟骨骨折
・スリーブ骨折
・分裂膝蓋骨


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