しくしく、じわじわ、きりきり、ごろごろ、色々な擬音で表現される腹痛は、大事な時に限ってやってきます。腹痛の痛みも、下の方だったり、上の方だったり、右だと思っていたら、いつの間にか左が痛い。今は薬を持っていないから、この腹痛の痛みを、薬を使わずに和らげたい。「何か変なものを食べた覚えもないのに、どうしてお腹が痛くなるんだろう」と思いながら、近くの椅子や地面にうずくまって、痛みが通り過ぎるのを待ったことがある方も多いのではないでしょうか。
腹痛が起きるタイミングは、大抵、間が悪いものですよね。例えば、行楽のお出かけ先、もしくは、もう直ぐ大事な面接がある。そんな時が多いです。薬を買いに行く時間も無い、薬を買いに行く気力も無い、そもそも薬局がどこにあるか分からない。そんなときに、腹痛の痛みを、薬を使わずに和らげる5つの方法をお伝えします。
腹痛の痛みを
薬を使わず和らげる5つの方法
・ベルトを緩める
まずは、お腹を圧迫しているものを外しましょう。ベルトを締めていたら外し、タイツやパンツのゴムなどがきつかったら下へ下げます。衣服でお腹を圧迫していると、腸の動きが鈍くなって、ガスが溜まりやすくなります。溜まったガスは、腸を膨らませて、胃や他の内臓を圧迫するので、お腹が痛くなります。
ベルトを外して、おならやげっぷが出ると、腹痛が楽になります。お腹が痛いと、お腹を押さえてうずくまりたくなりますが、うずくまると、曲げた胴で胃腸を圧迫してしまい、ベルトを外した効果が低くなりますから、立って軽く足踏みをしたり、両手を上げて伸びをして、腸の動きを助けましょう。
ベルトを外して下着を下げるなんて、ちょっと格好悪いですが、これで腹痛がおさまって楽になれば、体も気持ちも軽くなりますよね。
・おへそを中心に「の」の字でマッサージをする
ベルトを外して、下着を下げてもお腹が痛い時には、お腹の上から腸を動かしてあげましょう。まずは、重ねた両手をおへその下に当てます。そこから、少し強めに抑えながら、右手側に両手を動かします。おへそを中心に、右の下腹→右の脇腹→おへその上側→左の脇腹→左の下腹の順に両手で「の」の字のマッサージをします。ゆっくりと10回ほどマッサージをしてください。
この、「の」の字のマッサージの方向は、お腹の中にある、大腸の流れに沿っています。つまり、「の」の字マッサージは、腸を適切な方向に動かしてあげるマッサージです。腸が動いて、おならやげっぷを出してお腹が楽になったり、トイレへ駈け込みたい気持ちになったら、腸が動いている証拠です。続けて、お腹がすっきりするまでマッサージをするか、トイレに駆け込みましょう。
・カイロを貼って温める
お腹が弱いと自覚している方で、夏でも常に、貼るカイロを持ち歩いている方がいます。冷え性の人も持っているかもしれません。お出かけ先などで腹痛の痛みを感じた時、一緒にいる人達の中に、貼るカイロを持っている人がいたら、譲ってもらいましょう。カイロを持っている人がいなくても、貼るカイロなら、コンビニでも手に入りますよね。
カイロは、下腹の位置に貼ります。下着のパンツの上から貼ると、ちょうど大腸の位置になります。直接、肌の上に貼ると低温やけどの元になりますから、必ず布の上に貼りましょう。
なぜ、カイロが効果的かというと、お腹が痛い時は、体温も下がっています。脈が速くなって、冷や汗が出て、呼吸も浅く早くなります。これは、「交感神経」と言う心身の緊張を高める神経が活発になっているからです。交感神経が活発になっていると、直腸が緊張して硬くなり、腹痛を起こします。交感神経はストレスで活発になりますから、冷や汗が出る腹痛の時は、面接や会議や仕事中などの、「今、お腹が痛いけど、どうにもできない」時かもしれませんね。まずは、お腹を温めましょう。
お腹を温めると、交感神経と反対の働きをする「副交感神経」を刺激します。副交感神経は心身の緊張を和らげ、消化を助けて直腸の緊張を軽くするので、お腹の痛みが軽くなります。
・温かいものを飲む
温かいものを飲むのも効果的です。お腹の中から体を温めて体温が上がると、副交感神経を刺激します。「温かい食べ物」では、消化の負担がかかりますから、「温かい飲み物」にしてくださいね。血糖値を上げて体を元気にするために、飲み物は甘めのものを選びましょう。また、腹痛でも、下腹が痛い時は、腸が異常を訴えている時なのですが、みぞおちが痛い時は胃が異常を訴えている時です。
胃潰瘍や胃炎があると、空腹時に胃酸が胃の壁を刺激して、胃が痛くなります。胃酸は、食べ物の分解を助けて、小腸での栄養吸収を良くする成分で、胃の中に食べ物が入ってきた時に、胃の中で分泌される胃液に含まれています。胃液は食事中や食後だけでなくストレスや、とても緊張した時などにも、分泌されます。食べ物が胃の中に無い状態で分泌された胃液は、食べ物の代わりに胃の壁を分解し、胃液で壊された胃が異常を訴えて、痛くなります。ですから、胃の中に飲み物を入れて胃液を薄めると、胃の痛みが楽になります。それに、温かい飲み物は、体を温めるので副交感神経を刺激して、胃腸を楽にしてくれます。
・うつぶせで寝る
お腹が痛くて立っていられない時は、横になりましょう。左膝を曲げて軽く右腹を床につけた、うつ伏せの姿勢をとります。毛布などがあれば掛けて、できるだけ温かくします。誰か側にいたら、背中を優しく撫でてください。左膝を曲げた軽いうつ伏せになった後は、嘔吐の可能性も考えて、タオルとビニール袋を用意しましょう。もし、吐いても、一度吐いてすっきりしたなら、病気の可能性は低いです。消化不良や体に合わないものを食べたと思われます。
吐いてすっきりしたら、殺菌性のあるカテキン入りのお茶でうがいをして、休憩を取りましょう。吐くと体力を消耗します。お出かけ中なら、早々に帰宅しておとなしくしましょう。食欲が無くても、温めたスポーツドリンクを飲んで、ミネラルと水分を補給しましょう。食欲がある時は、食べ物は温かくて消化の良いものを摂り、お風呂に入って、体を温めてくださいね。
お出かけや、就職の面接、大事な会議の前などに、急に起きる腹痛の痛みを、薬を使わずに和らげる方法をお伝えしました。どの方法も、近くに薬局が無い時や時間が無い時に効果的なのですが、応急処置ですから、腹痛を繰り返すようなら、自分がどんな時に腹痛を起こすのか、知って日頃から気を付けましょう。貼るカイロを持ち歩くとか、毎日ヨーグルトを食べたるのも良い方法です。
特に、腹痛を起こすほど緊張しそうなことがある前日は、繊維質の食べ物を控えて、消化の良い食べ物を食べるようにすると、胃腸の負担が減って、腹痛を起こしにくくなります。
そして、注意していただきたいことがあります。この記事でお伝えした方法は、あくまでも、元気な方が急に腹痛に襲われた場合の対処方法です。ガスが出てもトイレに行っても腹痛がおさまらない時、右脇腹だけが激しく痛み続ける時や、血便や血尿が出た時には、病院へ行きましょう。右脇腹が痛い時は、胆管結石の可能性があります。血便が出た時は癌や腸炎かもしれません。血尿が出るのは腎炎や腎結石、膀胱炎などです。いずれも悪化すると大変なことになりますから、我慢しないで病院へ行くことをおすすめします。
上記のような症状の無い腹痛の痛みを、薬を使わずに和らげる方法は、どれもすぐできる物ですが、腹痛を予防できるように、日頃から心がけてくださいね。
今日のまとめ
急な腹痛の痛みを、薬を使わずに和らげる方法を5つお伝えしました。いざという時のために覚えておいてくださいね。
・まずは、お腹を圧迫しているベルトを緩めましょう。
・お腹の上に両手を重ねて、「の」の字マッサージで腸を動かしましょう。
・貼るカイロを貼ってお腹を温めましょう。
・温かいものを飲んで、胃液を薄めて、体も温めましょう。
・左膝を曲げて右脇腹を下にして、うつぶせで寝る。毛布などで温かくする