胸椎圧迫骨折を引き起こす原因と痛みを和らげる方法


胸椎圧迫骨折を発症する患者は、年間数十万にもおよびます。胸椎とは、一般的に背骨と言われている部分の首と腰の間で、肋骨と繋がっている胸の部分の背骨を指します。骨折と言ってもポキっと折れるのではなく、この胸椎を繋いでいる推体が何らかの衝撃などで縦に潰れてしまうことが胸椎圧迫骨折です。

この部分を骨折してしまうと、脊髄神経を刺激し、強い痛みや痺れを感じます。また、完治も難しく、進行によっては後遺症を持ってしまう場合もあります。

ここでは7つの項目に分けて胸椎圧迫骨折の原因や対処法、治療について、大まかに解説します。圧迫骨折は予防と対応が後遺症を残さない為に大切ですので、少しでも知識を身につけて備えましょう。

 

胸椎圧迫骨折を引き起こす原因と
痛みを和らげる方法

 

事故やスポーツでの外傷などにより発症します

圧迫骨折をした若い方に多く診られるのが、事故や外傷による原因です。交通事故で地面に思い切り身体を叩きつけられたり、サッカーやラグビーなど、強く衝突して転倒したりして、胸などに強い衝撃を受けた時に起こります。

直後に背中が痛んだり、一定期間、同じ部分の痛みが続くようなら胸椎圧迫骨折の疑いがあります。直ぐに整形外科を受診しましょう。

 

外傷以外の原因は、骨粗しょう症によるもの

胸椎圧迫骨折の原因として最も多いと言われているのが骨粗しょう症によるものです。骨粗しょう症は、約40パーセントも高齢者にあると言われています。

特に50代以降の女性は、ホルモンバランスの乱れから骨の中がスカスカになり、骨密度が低下するために多いようです。骨が脆くなったとろで無理な姿勢をとったり、咳やくしゃみなどの小さい衝撃により圧迫骨折が起こるケースが多いでしょう。

 

診断は主にレントゲン、場合によってはCTやMRIなどで検査します

骨折なので、レントゲン検査で充分に診断がつくことが殆どです。レントゲンでは、折れていると言うよりは、ヒビが入って潰れているように見受けられます。痛みがとても強い場合やレントゲンに映りにくい部分で圧迫骨折が起こった場合などは、より細かい診断をするためにCTやMRI検査を受ける場合もあります。

 

がんの転移でも胸椎圧迫骨折は起こります

がんが背骨に転移した場合などに、転移した部分が肥大し、胸椎が押し潰されるため胸椎圧迫骨折が起こる事もあります。この場合は圧迫骨折の治療と平行して、影響しているがん組織を取り除く治療も必要になります。がんの中でも、肺がん、乳がんや前立腺がんなどが、比較的転移しやすいと言われています。

 

痛みには、コルセットをして固定し、絶対安静にすることです

背骨を曲げて、前かがみになるような体勢が一番痛みを感じます。背中を丸めるようにしたり、重いものを下から拾い上げるような動作は禁物です。また、背中を大きく動かすような寝返りでも強い痛みを感じます。痛みが取れてきた頃になれば理学療法士と相談して、筋力を回復させるように歩行訓練などリハビリもおこないます。

 

鎮痛薬や、神経ブロックなどを使った治療法もあります

痛みが強く、日常生活に支障が出ている状態では、まずボルタレン、トラムセットやモルヒネなどの鎮痛薬が処方されます。骨粗しょう症による圧迫骨折には、カルシウムの吸収を助ける薬も合わせて飲むことが多いようです。

あまりにひどい痛みには、神経ブロック注射により過敏になりすぎた神経を和らげる治療も有効です。ブロック注射は麻酔科などでおこないます。

 

手術療法としてはセメントを注入するものが一般的で効果があると言われています

胸椎圧迫骨折の治療でポピュラーなのが、セメント治療です。セメント治療は、潰れてしまった骨の中に注射で骨セメントを注入して、弱い骨を補強するというものです。

この手術では、術後に高い割合で、すぐに痛みがとれるとも言われています。手術自体の時間も1時間程度で、日帰り手術をする病院もあります。麻酔も局所麻酔で済み、患者に負担が少ないことが特徴です。

 

胸椎圧迫骨折は、原因となる骨粗しょう症にならないよう、日常生活を気をつけることで十分な予防になります。年老いて背中が丸まると余計に背骨に負担をかけるため、常に良い姿勢を保つよう、ウォーキングなどで背筋、腹筋を鍛えたりしましょう。

また、食事面でもカルシウムやビタミン・ミネラルをバランスよく採り、良い食生活を心がけることも大切です。神経ブロックなどは、直接的な原因を取り除くわけではなく、対処療法として考えられているので、避ける方も多いですが、強い痛みがずっと続けば神経が過敏になってしまい、必要以上に痛みを感じることがあります。

どの治療も、自分の体調に合わせ、医師と相談して客観的に決めると良いでしょう。リハビリは個人差が出るものなので、すぐに回復しないからと言って諦めるのではなく、自分のペースで続け、できるだけ完治を目標に努力しましょう。

 

まとめ

胸椎圧迫骨折を引き起こす原因と痛みを和らげる方法

・事故やスポーツでの外傷などにより発症します
・外傷以外の原因は、骨粗しょう症によるもの
・診断は主にレントゲン、場合によってはCTやMRIなどで検査します
・がんの転移でも胸椎圧迫骨折は起こります
・痛みには、コルセットをして固定し、絶対安静にすることです
・鎮痛薬や、神経ブロックなどを使った治療法もあります
・手術療法としてはセメントを注入するものが一般的で効果があると言われています


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