痛風に悪い食べ物と言えば、プリン体を多く含む食品。煮干746mg、鶏肉のレバー312mg、牛肉のレバー219mg、カツオ211mg・・・とまあ、100g中の含有量順に並べればこんな感じですかねぇ。ですが、痛風患者の大敵と悪名高いビールは3.3mgと意外と普通だったりするわけです。
「痛風に悪い食べ物は控えよう!」と声高に言われても、痛風を治すためには何をどう心がけていいのか整理できませんよね。そもそも、痛風の主犯格プリン体は、地球上の全ての生き物が持つ物質で、何を食べてもプリン体は存在するし、細胞の活動エネルギーを作る重要な役目を担っています。
ですがプリン体は両刃の剣、体にとって重要な物質ですが過剰な摂取は痛風を発症するリスクを高めます。一昔前、痛風は贅沢病と言われた由縁ですね。そこで今回は、痛風が治らなくてお悩みの方へ「痛風を治すために心がけること」をまとめました。
痛風に悪い食べ物は控えよう!
治すために心がけること
暴飲暴食を控えましょう
ここに来られた方は痛風のメカニズムなんて、とっくの昔にご存知かと思うので今さら詳しくご説明するつもりは毛頭ありませんが、とにかく痛風を治すためには尿酸値を下げることに尽きるわけです。普通に食べていても尿酸はできるし、適正量の尿酸は体に邪魔な活性酸素を抑制して疲労や老化を抑える働きがあります。
その尿酸値が上がると痛風になるということが解っているくせに、なぜ暴飲暴食を繰り返すのですかと言うことです。痛風の痛みに苦しむ、痛いから痛み止めを飲む、収まったと思ったら、また暴飲暴食。宴会好き、お酒好きは解りますが、そんことしてると最後は肝不全になって人工透析まで行き着きますよ!ですから痛風が悪化した時のことをよく考えて暴飲暴食は控えるようにしてください。
軽い運動をして肥満に気をつける
肥満な人に痛風が多いのは事実。ですが尿酸値が上がる度合いには個人差があるようで、必ずしも肥満=痛風なわけではありません。内臓脂肪を減らすと尿酸値が下がります。そこで肥満な人にはウォーキングやジョギングなどの有酸素運動がオススメ!ただし、スポーツ選手にも痛風が多いように、あまり激しい運動はいけません。
軽い運動をすると、運動に必要なエネルギーを作るために最初のうちは血液中の脂肪を燃焼させますが、20分以上続けると今度は体脂肪の燃焼が始まります。別にたくましい筋肉を作るためにやるわけじゃないのでムキになってやる必要はありません。ゆっくり気楽にやってください。毎日継続すること、それが内臓脂肪を減らす秘訣です。
自宅でできる痛風体操をする
さきほど有酸素運動は痛風治療に効果的というお話をしましたが、毎日の仕事が忙しい人はちょっと無理があるかも知れませんね。それに夏の暑い日のウォーキングやジョギングは汗が出すぎて逆効果になる可能性もあります。そんな時便利なのが、お手軽にできる痛風体操なんです。やりかたはごく簡単なのでやってみてください。
まず床に座り両足を伸ばします。次に片方のひざを曲げて反対側の胸のあたりまでグーと、そうそうそんな感じです。同時にひじがひざを向かえに行く感じで、あげた足と反対側の腕を曲げます。そして足を元の位置へ。今度は反対の足です。これを交互に繰り返してください。最初のうちは、ゆっくり、慣れてきたら少しずつスピードを上げましょう。リズムのある音楽をかけてやると、りっぱなエクササイズの完成です。
ストレスをためないようにしましょう
事がメンタルな問題に及ぶので、中途半端で無責任なことは言えませんが、痛風がストレスと何らかの因果関係にあることは間違いなさそうですね。こじつけて言うと、ストレスが溜まると不眠やイライラなどの原因で体調が崩れ、尿酸の排出がうまくいかなくなって痛風の原因となる。という訳です。
とは言っても、人それぞれ性格というものがありますからねぇ、同じような精神的な壁でも、ある人は簡単に乗り越えてしまうし、ある人はうつ病になるくらい悩みます。どの程度のストレスが痛風を引き起こすかなんて誰にも解からないのです。
ですが、ストレスが二次的な要因であるにしろ体調を崩さないに越したことはありません。ただでさえ痛風の痛さでストレスがたまっているわけですから、できればこれ以上悪化の原因を増やさないようにしたいものです。いずれにしろ、物事をあんまり難しく考えないほうが良いみたいですね。
2リットルの水を少しづつ飲む本当の理由
ここでは「水をたくさん飲むと痛風が治る」という噂についてお話します。少なくとも痛風の発作中にどんなに水を飲んだからって収まることはまずありません。ただ、体内の水不足(脱水症状)は尿酸値を上昇させる可能性があります。それと尿管結石の予防ですね。ですから病院では高尿酸血症や痛風の患者さんに対し、水を飲むことを勧めているのです。
ただくれぐれも誤解しないでいただきたいのは「水をたくさん飲む」=「尿酸値が正常化し痛風が治る」という意味ではないという事です。ですが、痛風が悪化しない環境を維持すると言う意味では毎日少し多めに飲んだ方が良いでしょうね。よく一日2リットルの水を飲むという話を聞きますが、夏と冬では気温が違うし汗のかき方にも個人差があるので、あくまでも目安と考えてください。
痛風患者にお酒は厳禁?
冒頭の数字でお解かりの通り、ビールに含まれるプリン体の含有量はそんなに多くありません。むしろ食品全体から見れば少ない方です。さらに日本酒や焼酎、ワインなどに含まれるプリン体の量はもっと少ないのに、なぜ痛風の大敵なのでしょうか。その本当の理由はお酒に含まれるアルコールにあります。ちょっと話が込み入りますが、アルコールと尿酸の直接の関連性はありません。
ただ、お酒のアルコールが肝臓に入った時、肝機能が活発になり体内に蓄積されているプリン体が尿酸に分解されます。またアルコールを分解する時に生成される乳酸は尿を酸性に傾かせて尿の生成を遅らせます。その結果、尿に含まれる尿酸の排出も遅れるというわけです。
だから、お酒は厳禁です!と言われても難しすぎてなんだかピンときませんよね。それよりお酒を飲んで、つまみを食べて、帰りにラーメンの屋台に入る方がよっぽど厳禁!な気がします。そりゃ、痛風じゃなくてもカロリーの採りすぎでしょう。要するにそう言うことです。
自分勝手な判断で治療をやめない
高尿酸血症は食事療法での治療が可能ですが、痛風の発作を起こすまで悪化すると、食事療法だけでは治りません。ですから薬物による治療が中心となりますが、治療を開始した6ヶ月間ほどは薬の効果で尿酸値が下がり、逆に痛風の発作が起きやすくなることがあります。その後、発作は起こりにくくなりますが、問題はその後なのです。
「治った!」と勘違いするんですね。そして通院をやめてしまう。何度も申し上げますが、痛風は食事療法だけでは治りません。薬をやめた途端再発し、慌てて病院に駆け込むことになるのです。自分勝手な判断で治療をやめてはいけません。もちろん食事療法や生活習慣の改善も一緒にやらないといけませんけどね。
いかがでしたでしょうか。
痛風の治療は暴飲暴食をやめたり運動をしてダイエットに努めるなどの生活習慣や食生活の改善はもとより、病院での正しい治療が必要なことをお解かりいただいたと思います。痛風の発作は関節内に溜まった尿酸の結晶を白血球が異物と判断し攻撃することによって起こりますが、一度できてしまった尿酸の結晶はたとえ尿酸値が下がったとしても2年間は消えことはありません。
ですから、その間はいつでも再発の可能性があるということです。しばらく発作が出ないからと油断せずに、せっかく改善した生活習慣を続けるようにしてください。いつの日か痛風のおかげで長生きできたと思える日まで。
まとめ
痛風に悪い食べ物は控えよう!治すために心がけること
・暴飲食を控えましょう
・軽い運動をして肥満に気をつける
・自宅でできる痛風体操をする
・ストレスをためないようにしましょう
・2リットルの水を少しづつ飲む本当の理由
・痛風患者にお酒は厳禁?
・自分勝手な判断で治療をやめない