手が痺れる。これはだけでも経験したことがあると思います。手の痺れは腕の末梢神経が圧迫されたり、血行が悪くなることで発生します。少し腕を変なかたちで床についていたり、重たい荷物をずっと持っていたりすることでも起こります。これはずっと正座をしていて足が痺れるのと同じことです。
これらの一時的な手の痺れはすぐに治るので問題はありませんが、継続的に手の痺れが止まらない、朝の寝起きにも痺れているような場合には、その痺れの奥に病気が潜んでいることがあります。手の痺れぐらいで大げさだと思う方も中にはいらっしゃるでしょう。しかし命にかかわるような重大な病気の可能性もあるのです。ここでは手の痺れが止まらない時に疑うべき7つの病気について説明します。
手の痺れが止まらない?!早めに疑うべき7つの病気
神経の走るトンネルが圧迫される
これには痺れの場所と症状によって3つに分けられます。まずは手根管症候群です。手根管症候群は親指の外側や人差し指、中指の外側が痺れているときに疑われます。朝、目覚めたときに痺れや痛みが強く、手指を動かすと軽くなるのが特徴です。手首の手のひら側中央にある手根管という正中神経の通り道が何らかの原因で圧迫されておこります。
次は肘部管症候群です。これは小指とくする指が痺れて感覚がなくなり、指を開いたり閉じたりすることが難しくなります。肘の内側にある肘部管を通る尺骨神経が何らかの原因で圧迫されて起こります。最後は橈骨神経麻痺です。親指、人差し指、中指の手の甲側が痺れて手首が背屈しにくくなります。
なで肩の女性は気を付けましょう
なで肩の女性に多いといわれているのが胸郭出口症候群です。これは腕やその付け根の肩甲骨を支配する腕神経叢や鎖骨下動脈が、それぞれの部位で絞めつけられたり、圧迫されたりして起こります。なで肩の女性だけではなく重いものを持ち運ぶ方も気を付けてください。症状としては物干しの時や吊革につかまるときなど腕を上げるどうさをしたときに腕や手の痺れや痛み、肩甲骨周辺の痛みが生じます。
また手の小指側にうずきが生じたり刺すような痛み、ピリピリした感覚障害や握力低下と細かい動作がしにくいなどの運動障害も起こります。胸郭出口症候群では予防と保存療法が大切になってきます。症状を悪化させるような腕を上げて行う作業や重い物を持ち上げるような動作、リュックサックで重いものを担がないようにしましょう。
脊椎や頚椎が原因となることもあります
手の痺れには手や腕の問題ではなく、脊椎や脊髄が原因になっているものも多くあります。ここではどのような病気があるのかいくつか紹介します。変形性脊椎症の多くは加齢によっておこります。軽症なものは症状が出ないこともありますが、変形が進んでひどくなると慢性的な痛みや痺れがでてきます。頚椎椎間板ヘルニアは椎体と椎体の間にある椎間板という部分が変性してしまって、脊髄や神経根を圧迫してしまいます。
脊髄が圧迫されてしまっている場合は、両側の手の痺れや運動障害が起こるか、最初は片方だけだったのに後から反対側にも同様な症状が現れることも多いです。神経根が圧迫されている場合には首や肩の後ろ側や手指にかけて痛みがあり、痺れや知覚障害などが見られることもあります。
甲状腺の機能が低下しても痺れはおきます
甲状腺とは身体の代謝を促進するホルモンを出すところです。甲状腺機能低下症とは甲状腺自体の炎症や、甲状腺ホルモンの分泌を促す刺激ホルモンが低下することでおこります。40歳代以降の女性が発症することが多く更年期障害と間違えられやすい病気です。甲状腺機能低下症の症状には、全身の倦怠感、低体温、皮膚の乾燥、顔のむくみ、声枯れなどがあります。ではなぜ甲状腺機能低下症で痺れが起こるのでしょうか。
じつは甲状腺機能低下症の直接的な症状ではなく、甲状腺ホルモンが影響した神経障害として手根管症候群の症状がでてしまうのです。手根管症候群自体は更年期障害を発症するような年齢の女性に多くみられます。手が痺れるといった症状がみられたらホルモンの病気も関係している可能性がありますので、一通り確認をしておくのがよいでしょう。
起こると危険な手の痺れ
手の痺れの中には起こると生命に危険が生じるものもあります。脳梗塞や脳出血などの症状としての痺れです。ここではどのような痺れが危険なサインなのかいくつか紹介します。片側だけの手足がしびれる・薄い手袋をはめているような感覚がする・片側の手と口が同時に痺れる・急に起こって数分で消える、このような症状がでたらすぐに病院に行き医師の診察を受けましょう。
他にも低カルシウム血症や糖尿病性ニューロパチー、脳腫瘍などの病気でもてのしびれが症状として出てくることがあります。糖尿病を患っている方や、様々なお薬を飲んでいる方は副作用などで低カルシウム血症が起こる場合もあります。今一度ご自身の状態を確認しておきましょう。
パニック障害での手の痺れ
パニック障害は突発的な発作として、様々な症状が起こりパニックに襲われます。その方の状況や精神状態が作用して起こりますが、どのような症状があるのか見てみましょう。多くは、電車内や会社や授業中など周囲に人がいる状況でおこります。心臓がドキドキして来て呼吸が荒くなってきたり、冷や汗が出て身体が震える。
手足がしびれてつっぱった状態になる、めまいなどが出てきて、このままでは死んでしまうのではないかと思うような強い不安に襲われます。このような発作が起きて急いで病院へ行ってもそのころには発作は消え、心電図などの検査にも異常は見られません。しかし、発作を繰り返すようになってしまうと痺れやめまいが慢性化することがあり、次の発作に対して怯えてしまい不安が募ってしまいます。
うつ病での手の痺れ
全項のパニック障害と併発して発症しやすいのがうつ病です。うつ病とはやる気が出ないという意欲低下、悲しい気分になる抑うつなどの心の症状と食欲低下や不眠、倦怠感などの身体の症状が現れる病気です。ではなぜうつ病で手が痺れることがあるのでしょうか。うつ病になると自律神経の不調が起こりやすくなります。それで血液の流れが滞り、酸素が不足して手が痺れたりします。
また、抗うつ薬を減薬したり、自分の判断で飲むのをやめてしまうと離脱症状が起きてしまいます。この抗うつ薬の離脱作用には様々な症状が起きますが、中でも耳鳴りが「シャンシャン」鳴り、手が「ビリビリ」痺れる状態、いわゆる「シャンビリ」が起こってしまいます。
このように手も痺れと言っても様々な原因があります。身体的な原因で症状が出てくるもの、精神的な原因で出てくるもの。その中でも起こると危険な手の痺れに関しては注意が必要です。もし症状が起こったらほおっておかずに自己判断はしないで、早めに病院で専門家に見てもらってください。
また一時的な痺れの場合も、同じような症状が繰り返し現れる様でしたら、医療機関などを受診して専門家の意見を聞くようにしてください。専門家の意見を聞いて原因がわかればストレスも軽減されて症状緩和の効果も期待できます。
まとめ
手の痺れが止まらない?!早めに疑うべき7つの病気
・神経の走るトンネルが圧迫される
・なで肩の女性は気を付けましょう
・脊椎や頚椎が原因となることもあります
・甲状腺の機能が低下しても痺れはおきます
・起こると危険な手の痺れ
・パニック障害での手の痺れ
・うつ病での手の痺れ