富士山が噴火する確率と、私たちが生き残れる可能性とは

富士山が噴火する確率と、私たちが生き残れる可能性とは
「富士山が噴火する確率は何%?」と聞かれれば、答えは「100%」です。これから必ず富士山は噴火します。なぜなら、富士山は活火山だからです。富士山が誕生したのは、今からおよそ10万年前。一方、火山の寿命は一般的に100万年と言われています。

人間の平均寿命を80歳として考えれば、富士山は現在、8歳のワンパクな子どもです。最近の富士山の噴火は、およそ300年前の宝永大噴火でした。およそ300年間、富士山は噴火していませんが、これも人間に当てはめて考えれば、8歳の子どもが1週間ほどおとなしくしていただけのことです。こうして考えると富士山は必ず噴火します。問題は「いつ?」「どの程度?」ということでしょう。今日は富士山が噴火する確率と、私たちの生活に与えるリスクなどを、いくつかのケースに分類してお伝えします

 

富士山が噴火する確率と
私たちが生き残れる可能性とは

 

今後10年以内に富士山が噴火する確率は

今後、富士山が噴火する確率は、前述の通り100%です。しかし、その噴火が例えば200年後だとしたら、今から心配するのは無駄ですよね。なので今回は、「今後10年間で、富士山が噴火する確率」をざっくりと計算してみましょう。

実はこの確率を計算する時は、「富士山の噴火は無作為(ランダム)に起こる」という前提に立たなければいけません。本当は地球の地殻変動や、大地震、火山の大きさ、などの要素によって、富士山の噴火は規則的に起こっているのかもしれませんが、現在の科学の水準では、その規則性を明確にすることは不可能です。規則性が不明なので、しょうがなく富士山の噴火はランダム、気まぐれのように起こると仮定しなければいけません。この前提を覚えておいてください。

歴史上(西暦781年以降)、確実に記録されている富士山の噴火は10回起きています(富士山ハザードマップ検討委員会・中間報告)。781年から2015年までの1234年間に10回ですから、1年間で富士山が噴火する確率は、1234分の10、およそ0.81%です。つまり、1年間で富士山が噴火しない確率は、「100引く0.81」で、およそ99.19%です。
それでは10年間連続で富士山が噴火しない場合を考えてみましょう。99.19%が10年間続きますから、99.19%を10回掛ける、つまり99.19%の10乗です。「99.19%の10乗=およそ92.19%」となります。

「10年間連続で富士山が噴火しない確率」は92.19%ですから、残りの確率が「10年以内に富士山が噴火する確率」になり、それはおよそ7.81%です。

7.81%という確率が高いのか低いのか、ということは判断が難しいところですが、前述の通り、富士山の噴火を無作為・ランダムとして考えて、本来あるであろう規則性を無視した結果ですから、明日噴火する可能性も確実にあるわけです。

 

富士山から20㎞以内にいた時、生き残れる可能性は

富士山はおよそ300年間噴火せずに、おとなしくしている活火山です。一方で北海道の有珠山はおよそ30年周期で噴火し、鹿児島の桜島は1年に何度も噴火をしています。これらは富士山と比較すると、とても短期間の噴火を周期的に繰り返しているのです。実は、火山ごとに放出したいエネルギーというものが決まっており、小さな噴火でエネルギーを小出しに使っているのが有珠山や桜島だと言えます。そして300年沈黙している富士山が噴火する時は、とても大きな噴火になることが予測されるのです。

富士山が大きな噴火をすると、富士山の近くにいる場合、富士山から20㎞以内の範囲にいる場合は、溶岩流、土石流、火砕流、噴石、火山弾など、富士山からの直接的な被害に気をつけなければいけません。これらは噴火後間もなく襲い掛かってくるので、とても危険です。

そして大量の火山灰が降り注ぎます。火山灰はガラスの粒のようなものですから、吸い込んだり目に入るととても危険です。富士山から20㎞の範囲には、50㎝以上火山灰が降り積もると予測されています。

富士山から20㎞以内にいた場合は、これらの噴火後直後に襲ってくる脅威に、どれだけ素早く対処できるかが、生き残る可能性に関係します。溶岩流・土石流・火砕流を避けるために、早急に富士山から離れること、ソフトボール大から自動車サイズの噴石と火山弾から身を守るためにヘルメット装着と丈夫な建物に避難すること、火山灰を防ぐためにゴーグルとマスクをすぐに装着すること。これらが噴火後に早急に必要となる対処です。

富士山の噴火に備えたハザードマップは、内閣府の防災情報サイトや富士山周辺の自治体のサイトで公開されています。特に非常時用装備の準備、避難経路の確認、緊急連絡先を予め確認しておくことが重要です。この準備をするかしないかで、生き残る確率が大きく変わってきます。

 

20㎞以上離れた場所にいた場合、生き残る確率は

前回の富士山の噴火、およそ300年前の宝永大噴火では、富士山の火口から20㎞離れた地点でも数センチの噴石が飛んできたという記録があります。なので油断はできませんが、家一軒をまるまる破壊してしまうようなサイズの噴石や火山弾は飛んでこないでしょう。溶岩流や火砕流も届きません。なので、噴火直後に命の危険を感じる可能性は、だいぶ低くなるでしょう。

しかし、神奈川県の大部分では30㎝程度、東京都や千葉県ぐらい離れていても、10㎝程度の火山灰が降り積もるだろうと予測されています。20㎞以上離れている場合、身体に直接被害が及ぶのは、火山灰が原因です。少なくとも関東地方に在住の方は、マスクとゴーグルは準備しておく必要があります。

強風や気象条件によっては、噴火後1〜2時間で大量の火山灰が来ることもありえます。噴火後にマスクやゴーグルを求めるのでは遅いです。予めの準備を心がけましょう。もちろん火山灰によって電気・水道・交通などがストップする可能性は高いので、食料や水などの備蓄も欠かせません。

 

1の項で、10年以内に富士山が噴火する確率はおよそ7.81%と算出しました。しかし、この確率が高いのか低いのかを考えることには、あまり意味はありません。重要なのは、「0%ではない」ということです。明日に噴火する可能性は確実にあります。そのための準備と心構えが必要なことなのです。

そして、富士山から近距離にいても、遠距離にいても、重要なのは噴火後すぐに適切な対応ができるかどうかが、生き残る可能性に大きく影響します。マスク・ゴーグル・ヘルメットが前もって準備してあるか、避難先はどこか予め調べておいたか、事前に家族との連絡をどうとるか話し合っていたか、食料と水の備蓄があるか、などが生死を分けます。「富士山は100%噴火する。そのための準備を今すぐ行う。」これが今回の結論です。

今日のまとめ

富士山が噴火する確率と、私たちが生き残れる可能性は?

・今後10年間で富士山が噴火する確率は7.81%
・富士山から20㎞以内にいた時は安全な装備で素早く富士山から離れることが大事
・富士山から20㎞以上離れていても、火山灰対策のゴーグルとマスクは早急に必要
・準備をしておかなければ生き残る可能性は高くならない


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